第4話

4話 happy end 1番
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2020/07/25 11:23
殺せないよ?
なんで?力づくで
殺せばいいじゃない。
でも力が足りない
こういう時の力の弱さが嫌い。
母親
母親
生まれてくんなよ!!
莉犬くん
莉犬くん
い…嫌だああああ!!
怒りと絶望。狂気。
全てがかみ合わさってできた
力は俺にも予想外なもので
一瞬で拘束から外れる。
ころんくん
ころんくん
あっ!!
早く抑えに行って!!
ごめんね。
捕まんないよw
あいつを殺すことだけが俺の
存在証明。
即座に刃物を持ち上げて
今度は絶対に邪魔されないように。
殺す。
モブ
モブ
あ…あ…あ…っ…
相手の嗚咽と共に俺の膝は
限界のようでがくりと倒れてしまった。
なんとも惨めだな。
息が絶え絶えになる。
それでもだ。
それでも殺意は消えない。
遺体に何度も刃物を突きつける。
ジェルくん
ジェルくん
どうしたんや…莉犬…
俺が限界になった時。
何も見えなくなっていた俺は視界を取り戻した。

…そうだった。
俺はあの親子を守るのが存在証明だったのに…
いつしかこいつを殺すことになってた。
なんだよ。こいつよりもタチが悪いじゃないか。
今は周りが見えるさ。
それでもやっぱり見るのが怖い。
人の視線。あれほど怖いものなんてない。
なのに俺はそれを自ら申し出たも当然。
なーくん
なーくん
ねぇ…莉犬くん…
勿論メンバーもあ然としていた。
けれど途中テレビ放送が来ていて
生放送だったらしく
この光景が映ったようだ。
それを見て駆けつけたのが
なーくんだったのだろう。
でも今この状況でごめんなんて言える状況じゃない。
俺はまだ狂ったように言った。
莉犬くん
莉犬くん
ねぇ。こいつを殺せたんだよ。
俺は…自分を証明できたよね。
それでも声は震えていて。
でも俺って意地っ張りだからさ。
大勢の前で言えないじゃん。
もう俺は大丈夫だよって。
だから狂った様子にするために
精神を削ってる。
馬鹿らしいよね。
膝が震えてて。
声も震えてて。
乱れた顔で。
縋り付こうとする手で。
何もかもが弱さを物語ってるのに。
それでも口は狂わせるんだ。
俺がみんなを幸せにするために生まれてきた?
俺の体はかわいい声を出すためだった?
俺がみんなの支えになってる?



…この光景を見てもそう言える?
俺の障害という壁を君は乗り越えられる?

だってそう言えるのは…
俺の態度があるからこそでしょ。
さとみくん
さとみくん
な…なぁ莉犬…
莉犬くん
莉犬くん
近寄らないで。
それとも…殺されたいのかな…?
さとみくん
さとみくん
…ッ!それは…!
るぅとくん
るぅとくん
いいんです。
莉犬は今落ち着けてないんですよ。
無闇に話しかけない方がいいですから。
君の痛さを。
君の弱さを。
君の辛さを。
僕の痛みを。

わかってくれる人なんて数名なんだ。
そう思ってた。
でもネットの世界は嘘もつけて。
でも優しい人の方が多くて。
全部に支えられてきた。
それでも俺はおかしくて。
支えいてもらった恩を仇で返したんだ。
きっとすぐに俺ってことは特定されるだろう。
そしてすとぷりは終わってしまうんだ。
何もかも俺のせいで。
ーーーーーーーーーーーー
俺は昔から被害者だって思ってて。
だってそれもそうだと思わない?
鬱病のお母さん。

ダメダメなお兄ちゃん。

お母さんに構うお父さん。

借金だらけの家系。
俺が唯一まともだって。


でも俺は人を殺すような人になって。


愛情がなかったから。

なんてものじゃない。


俺の判断で狂って。

俺の判断で壊れた。


ただそれだけなのに家系のせいと思う俺は1番ダメな人間で。
でも人のせいにしないと今の俺は立ち直れなくて。


だからこうやって考えてる。
もしなーくんだったら。

まず狂わない。

自分で自分を止められるし。
ジェルくんだったら。

過ちを犯してもすぐ謝るだろう。

「ごめんなさい」って。
ころちゃんだったら。

きっと絶望に塗れて言葉も発せないのかな。
さとみくんだったら。

泣いてしまうのかな。

優しいからさ。
るぅとくんだったら。

周りを観れるから。

狂っても殺しはしないだろう。
じゃあ俺は。

全て他人のせいにして

投げ出して。

殺す。

絶対に。
それが現状だから……。
あぁダメだなぁ。

涙が出てくるよ。

折角狂ってるフリしてるのに。
なーくん
なーくん
ねぇ莉犬くん。
莉犬くん
莉犬くん
うるさいッ!
なーくん
なーくん
きっと莉犬くんは殺人犯になろうとしたんじゃない。
あの親子を助けようとしたんだよね。
あの人に親がいるから。
愛情に満ちた環境で育ったっていう事実にきっと莉犬くんは狂っちゃったのかな。
さらにそいつが殺人犯になろうとしていたから。違うかな?
莉犬くん
莉犬くん
うる…さい…。
ころんくん
ころんくん
だから殺したんだ。
親子を守りたいっていう本能から。
自分で狂ったんじゃない。
本能が狂わせたんだ。
ジェルくん
ジェルくん
でも狂った本能を止められなくて。
最後には自分の心を体に預けたんや。
さとみくん
さとみくん
そう言われたって、
殺してしまったのは事実で
償わなくちゃいけない。
るぅとくん
るぅとくん
例え正当防衛で罪に問われなくたって。
自分の精神を削ってしまうという罰がある。
なーくん
なーくん
それでも俺達は支え合うんだって。
そう決めたから。
声に出ない泣き声があった。
それから俺は泣き疲れて寝てしまった。
ーーーーーーーーー
〜後日〜
俺は必死に”この人”が目覚めるのを待った。
過ちを全て謝りたいから。
モブ
モブ
んぅ…
あ、と声が出た。
モブ
モブ
お前は…
莉犬くん
莉犬くん
ごめんなさい!
俺は椅子から立ち上がり許しを求めた。
莉犬くん
莉犬くん
あんなに殺そうと…
死んでしまったと思った貴方の体にも刺し傷を…
モブ
モブ
あぁ…いいんだ。
確かに痛かったがそれで目が覚めた。
俺はきっと自分を証明しようとしたんだ。
だからお前…いや貴方と同じだ。
そんな謝りの会話(どっちが悪いかの話)をしてからはほっこりした話もし始めた。
とっても仲良くなれるような人柄の人だった。


そう思うと殺してしまった時のマイナス思考がもっとあった気がした(笑)
るぅとくん
るぅとくん
(実はその後の裁判。
証人のすとぷりメンバーが俺たちが悪い。
と全員が口を合わせて言い
莉犬も俺が一番悪いの!と口論になったため証人は
目撃者になったのだが、その人達もどちらも悪い。と言い
結局”あの人”に喋ってもらったのだが自分が悪いと
ずっと言い張ったため裁判にならず、
結果被告人も過ちを認めている。
ということになってしまい無罪判決のようなものに
なってしまったという逸話が誕生したのであった。)
happy end 1番 「逸話」

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