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第10話

茶会と煙草
【次の日】

「探偵社の社長は馬鹿か?」
私が伝えると立原が驚いた顔をして言った。
銀や樋口、芥川までもが目を見開いている。
無理もないだろう。
私が伝えたことは姐さんがポートマフィアに戻って来た際、預かったと言う手紙の内容だった。
「茶会と言う名の・・・何でしょうか??」
「お、俺に聞くなよ」
樋口が天然を披露し困る立原。
このメンバーになると例え物騒な話でも何故か
ほのぼのした雰囲気になってしまう。
「茶会と言う名の・・・密会じゃない?」
「密会ですかね?」
「警察に見つかったらアウトだしな。」
「確かにそうですね」
私の密会という言葉がしっくりきたらしく
樋口と立原は二人で満足気だった。
でもまぁ・・・
「「・・・仕留めるには打ってつけだ。」」
・・・声が重なった相手を私は睨んだ。
「その顔は何だ。何時もより酷いぞ」
そう言い芥川は汚物を見る様な目で見つめてくる。
「芥川よりもマシだと思うけどなあ?」
「貴様に其の様な事を言われたら終わりだ」
「ならとっとと墓に入ったら?」
私が嫌味ったらしく言うと無言で睨まれた。
多くの人はこの睨みだけで震えるそうだが私は見慣れている為、全く怖くない。
「お、おおおお落ち着いて下さい!!」
樋口がオロオロしながら言った。
「樋口、お前こそ落ち着け」
芥川の言葉に銀が頷く。
「毎度毎度二人の喧嘩は怖いんですよ・・・」
「アレっすよ!喧嘩する程仲が良い!」
「そうだったんですね!!」
「・・・次、言葉を発した者は減給するぞ」
芥川が茶を飲みながら言った。
黙り込む二人。
ふふっ減給は・・・確かに怖いねぇ。

私はふと思い出した。
そう言えば武装探偵社には”太宰治”が居た筈。
其の人にも今日会えるのか。
会ったら一発殴ってやろうかなぁ・・・
然し攻撃してしまってはきっと武装探偵社も反撃せざる負えなくなってしまう。然して元より首領の企みが分からないから下手に動けないしなぁ・・・

「さて、そろそろ行きましょう」
そう言って樋口がソファから立ち上がる。
樋口の声により考えるのを止め私もだらだらと立ち上がると芥川が少しだけ微笑みながら言った。
「樋口、減給決定だな。」
「えぇ!?(泣)」










待ち合わせの場所に向かうと
「ようこそ首領」と言い近付いて来た男性が居た。
「太宰君、4年振りだねぇ」
首領が男性に向かって笑みを浮かべる。
・・・この人が”太宰治”。
私はまじまじと見た。
腕にはギブス、首からは包帯が見える。
髪の毛は余りの手入れをしていないらしく所々跳ねてはいるが顔が整っている為、一種のお洒落のようにも見えた。
・・・この人が芥川の師匠であり中也さんの元相棒。
ふと、彼が此方を見た。
彼はニコッと愛想良く笑ったが何故か寒気を感じ自然と視線を外してしまった。
















「青鯖見てどうだったよ?」
茶会(密会)の帰り中也さんが私に尋ねてきた。
「・・・よく分からない人でした。」
そう答えると中也さんが目を丸くして笑い始める。
「お、可笑しいですか?」
「あぁ、可笑しいぜ」
然して一通り笑い終わったあとに
「お前やっぱ彼奴に似てやがる」
と息を整えながら言った。
「何故です?」
正直不愉快だ。
理由は分からなかったが何だか似たくなかった。
そんな事を知ってか知らずか、中也さんは口端を吊り上げて機嫌よく教えてくれる。
「先ず彼奴を見た女は大抵格好良い、優しそうと、ほざきやがる。けど手前は其れを見破り”よく分からない人”だと言った!彼奴の正体を初対面の手前は掴みやがったんだ!!」
「あの・・・”よくわからない人”ってだけで彼の本性は見破り切れて無いですよ?」
「見破れてンだよ。彼奴は判らねェ奴だ。否、理解すらしたくねェ」
そう言って何かを思い出したらしく目を細めた。
違う質問をするとしよう。
「私の何処が似てるんですか?」
「彼奴を見破れる奴はな、似た様な性格なんだよ」
そう言って取り出した煙草に火をつける。
兎に角、私は彼に似ているらしい。
明白な理由は教えてくれなかったが。
それより・・・
「煙草は肺を悪くしますよ」
「・・・手前も吸うか?」
「私の話聞いてました?」
「聞いてたぞ。ほれ。」
一本、渡してきた。
聞いてないでしょと思いながらも受け取り、ぎこちない手振りで火をつける。
其れを思い切って口に加えると、
「ゲホッ!コホッケホッ!!」
と情けない事に盛大に咳き込んだ。
咳き込む私を見ながら煙草を蒸し
「手前にゃ早かったかァ?」
と挑発的な笑みで言ってきた中也さん。
私は中也さんの質問に答えず噎せ続ける。
「喫煙し過ぎるのはオススメしないよ?」
突如、首領が会話に入ってきた。
「首領!」と驚く中也さん。
「あ、そう言えばあの後どうだったのかな?」
「な、何の事です?」
「あれだよ、中原君の仕事部屋のソファで・・・」
「あー!!!!あれは誤解です!!」
顔を真赤にして否定し始めた私の上司。
何の話だろう?と思いながら二人を見ていた。

余程拙いものを見られたんだろうなぁ・・・