「芥川!中島敦!逃げて!!」
カメラ越しに映る二人に向かって叫んだところで
聞こえる筈がない。
然し叫ばずには居られなかった。
其の様子を見て父は笑う。
「大人しく観なさい。君のせいで仲間が死ぬのを」
___________言い終わった父は
パチンッと指を鳴らす________________________
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「敦くーん、異常無しかい?」
インカムから無事を尋ねるの彼は太宰さん。
「こっちは大丈夫ですよ」
「まだ敵居ないの?」
ボリボリ食べながら聴いてくるのは探偵社で
待機中の乱歩さん。
「話す時は食すな。」と芥川が注意をする。
「君と言葉を交わすのは初めてだね!」
「交わす必要も無い。」
「この有名な名探偵に其の対応なの?」
「なら僕は有名な指名手配犯だ。」
「煩ェ。挨拶は他所でしろ。
芥川は指名手配犯であることを威張るんじゃねェ」
「中也はインカム越しに特殊芸しないの」
「してねェよ!」
「おい太宰、任務中に人を揶揄うな!」
「解ってるよ〜国木田君はお堅いなぁ」
「解ってねェだろ。」
「解ってるよ脳筋とは違うから」
「ンだと!?」
「言った傍からもめるな!!」
もうゴチャゴチャである。
「はぁ」と溜め息を吐き階段を上り終わる。
階段も古いな、と思いながら顔を上げると扉を見つけた。僕は芥川と顔を見合わせ中に入り、見渡すが殺風景の部屋だ。
「何も無いな」
「強いて言えばアレだ。」
芥川が顎で指した所には監視カメラ。
「行動観られてるじゃないか!如何しよう・・・」
「簡単だ。来た者を排除する。」
「来い。僕が直々に捌いてやろう。」芥川は
嫌な笑みを浮かべる。
「おい、殺すなよ」
「・・・言われなくても解っている」
言葉を交わし二人して構える。
・・・然し何時まで経っても誰も来ない。
「・・・・・・・・・・・・来ないな」
「そうだな。」
「・・・ッ人虎!!」
急に芥川の切羽詰まった声に振り返ろうとした。
_______だけど僕の胸を刃物が貫通したから
動く事が出来なかった。_______________________
ブチュリ、刺さる音と痛みが僕を襲う。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!