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第44話

恐怖心、反抗心
「な、んで・・・」
恐怖からかカタカタと歯が音を立てる。
脚が震える。
そんな私も見て父は微笑む。

「娘が家出をしたから連れ戻しに来ただけだとも。力が落ちているか気になったから試してみたが・・・落ちてる訳では無さそうだし安心したぞ」
「さぁ帰るぞ」と手を伸ばして来る。


私は知っている。
此処で大人しく言う事を聞かないと恐ろしい事になること。だが言う事を聞いてはポートマフィアを離れる事になってしまう。
ようやく、居場所が出来たのに。
ようやく、安心出来る場所を見つけたのに。

「羽那?言うことを聞かない気か?」
少し声が低くなった。恐る恐る顔を見ると、眼鏡が光り表情が読み取れない。














_______________怖い。

_______________怖い。





















「ッ羽那さ・・・逃げろ・・・!」
立原は異能で刺された状態であるにも関わらず
声を絞り出す。
「アンタ帰ら・・・ねェと・・・中原幹・・・部が、
悲し、む・・・だろーが!!」
思い切り叫ぶように言い、彼は血を吐いた。

「中原幹部?・・・重力使いのことか。
・・・・・・いい事を教えた君は今楽にしてあげよう」
そう言い父親は指を鳴らそうとする。
指を鳴らしたら最後。
忽ち針の山ならぬ刃物の山により刺され絶命する。
止めないといけない。
・・・止めないと。


















____________気付けば私は立原の前に立っていた。




「今すぐ退きなさい、羽那」
「・・・退かないわ。大切な部下よ」
「退け」

機嫌の悪い声になった。
怖い。
だけど後ろには部下が居る。
守らないと。

「退くくらいなら戦う」
「逃げろ・・・ッて!」
「あなたを置いて行けない」
はぁ、と父が溜息を吐いた。
「親しい者を甘えさせるのは変わらんな」
「之は甘えなんかじゃない」
「そんなんじゃ駄目だ。」
「私のやり方よ。」

視線と視線がぶつかり合う。
父親と戦って勝てるだろうか?
其れよりも逃げた方が・・・否、立原の様子を見ると
逃げれそうに無い。
私が時間を稼ぐしか・・・



父親が歯を見せて笑った。
来る_______________と思い、避けたのだが考える事に気を取られた私は反応が遅れ壁から突き出てきた刃物に腕を刺された。

「考え事とは僕も舐められたな。」
機嫌の悪い声でそう言う父親。
私の腕からは血が流れ、其れは手の甲を伝い重力により地面へと落ちる。

「戻ってくる気にならないのか?」
「ええ。」
「そうか、なら・・・強引にでも連れ戻そう」





















「そうはさせん。」



















硬い声の後姿を見せたのは探偵社の国木田独歩。
隣には身構えた姿の中島敦が居た。


「・・・・・・武装探偵社・・・」ポツリと父親。

国木田独歩は硬い声のまま「其奴を刺している異能は貴様だな?今すぐ解放しろ。」と言うと黙って父親を見つめる。

父親は武装探偵社の二人をじっくりと見た後、
「ま、良いだろう」と一言言って異能を解除した。



解除したことにより立原が崩れ落ちそうになり、急いで支える私を見て父は蔑んだ目を向けた。

「弱い奴を助けて何になる?」
「立原は弱くない。弱い人間は自分が危険な状況で仲間の安全を確保しようとしない。」

現に彼は自分が殺されそうな中、私に逃げる様に
必死に訴えてみせた。
其れは弱い人間は出来ないことだ。
然しこの父親はそれが理解出来ないようで。

「其れは自分の状況を理解していない阿呆だ」と
つまらなそうな顔で言った。

”なんて奴だ”思い切り睨み付けた。
睨み付けながら思う。
こんなに父に反抗したことが無かったな、と。
私の態度が予想外だったのか驚いた表情を数秒みせた父は「・・・時期にお前も分かるだろう。」と静かに言い私達とは反対の方向に歩いて行った。












その後を誰も追うことはしなかった。

私はただただ

其の背中を睨み続けたのは勿論のことだ。