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第23話

きっと私は
「綺麗・・・」
横浜の街を見渡せるくらいの高い場所にあるレストラン。そこから見る街はまるで季節外れのイルミネーションの様であった。
「・・・確かに綺麗だなァ」
向かいの席の中也さんも言う。
「誘って頂き有難う御座います。」
「予定よりかなり遅れたけどな」
「仕方無いですよ」
本当は5日程前の今頃の時間に食事をする予定だったのだがドストエフスキーと云う人物のせいで色々あり予定が狂ったのだ。
「小説の中の世界はどうでしたか?」
気になっていたので聞いてみた。
「雑魚だらけだったぜ」
「中也さんらしいですね」
「そうか?」
「ほら、そういう所」
私がそう言うと「分かンねぇな」と言いながら
二杯目のワインを飲み干した。
アルコール度数は余り高くないから、これなら一本飲んでも中也さんは酔わないだろう。そう思い私は彼にこのワインを進めたのだ。勿論、しっかり彼の味の好みに合わせて。
あ、そうだ。
「ところで大切な話とは何ですか?」
「!??!・・・あ、あぁそうだったな」
自分で”大切な話がある”と言いったのに尋ねられて驚いている中也さんに私は驚いた。
「大丈夫ですか?」
「馬鹿にしてんのか?」
「いえ、余り」
「余りって少しはしてンだな」
「そう解釈しますか?」
「そう解釈する他無ぇだろ」
笑って誤魔化す私を見て呆れたように溜息一つ。
「溜息なんて酷いですよー」
「煩ぇチビ」
「十センチしか変わらないじゃないですか」
「十センチもだろ?」
「ぐぬぬ・・・」
私の悔しそうな顔を見て中也さんが笑った。
思わず私も頬の筋肉が緩む。
此の人、本当に見惚れる顔だなぁ。
当たり前だが顔以外もそうだ。
堂々としていて確かな腕っ節と頭脳。
部下を思いやる些細な言動。
然して心からの忠誠心。
その全てが私は驚き憧れた。
然して、彼に忠誠心を持ったのだ。
こんなに素敵な上司だ。
”彼女くらい居る筈では?”
そう思いドキリとした。
居たら・・・どうしようと思った。
待て。
どうしようって何だ?
居たら・・・私は困るのか?
何故だ?
・・・中也さんのことが好き?
真逆。
そんな筈無い。

「羽那如何したンだ?」
「・・・っ!いえ、何でも無いです」
「?何か悩み事か?」
「違いますよー」
「嘘、下手くそか」
そう言われ頬を摘まれた。
「いひゃいれす(痛いです)」
「言いづらいなら言わなくて良いけどよ、溜め
込むのは良くないからな?分かったか?」
ほら、そうやって心配してくれる。
無理をするなと言ってくれる。
「ひゃい(はい)」
「よしよし」
やっと手が離された。
「痛かったです」
「もう一回されたいって?」
「言ってませんよ!」

言い返しながら摘まれたところを撫でる。

私以外にこんな事して欲しく無いなぁと思ったのは
自分だけの秘密。



















あぁ、きっと私は貴方のことが・・・。