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第16話

記憶
私は中也さんとわかれた後、一人街を歩いていた
ぼうっと昨日の夜を思い出して。



昨日、首領に呼ばれ急いで出向くと酔い潰れた
中也さんが椅子に座った状態でグデェとしていた。
固まる私に首領が「よく来たね。彼を連れて帰って欲しい。」と告げてワインを一口。
「な、何故私でしょうか」
私には分からなかった。
こういう事は下っ端の男性がやる事だと今まで見て来てそう思っていたからだ。男性が酔っていたら男性が、女性が酔っていたら女性が。私は、てっきりそう思っていたのだ。
「五代幹部が弱っていたら狙われるだろう?その時に君の実力で倒して欲しくてねぇ。安心しなさい。彼は酔った勢いで襲う様な人柄じゃ無いから。」
「し、知ってます!」
動揺する私を見てか姐さんが「おやおや」と口元を抑えながらほくそ笑んだ。
私は馬鹿にされてると思い「では。」と中也さんの手を肩にまわし急いで部屋から出たのだった。

車に乗り彼の住むマンションへ運び、エレベーターに乗って彼の住む部屋の前まで移動した。
問題は此処から。
家の鍵は何処だろうか。
少なくとも車の鍵と同じにしていない事だけは確かだが私は他は知らなかった。
・・・しょうが無い。起こして本人に聞こう。
「中也さーん?」
「・・・んん」
切れ目が少し開き青い瞳が此方を見る。
「家の鍵何処にあるんですか?」
「・・・ん」
と、肩にまわしていない方の手でベルトを通す所に掛けた鍵を取り出し、開けた。
「有難う御座います」
「ん・・・・・・」
短く返事をした後規則正しい呼吸の音しか聞こえなくなった。・・・眠ったようだ。
隙だらけで心配になるなぁ、と思いながら部屋に入る。中は中也さんらしく綺麗に整理されており、
しっかりした人だと改めて思う。
まぁ、酒には弱いけど。
「・・・んん」
中也さんが部屋の証明により眉間に皺を寄せた。
「あ、中也さん起き――――」
言葉は途中で止まる事となった。
・・・中也さんが私にキスをしたのだ。
そのまま力任せにベッドに押し倒される。
「いっ、中也さ」
「男の家に上がり込むなんざァ積極的だなァ?」
「ち、違いますよ!?」
大きな声を私が出す人差し指を口の前へ立て「シィッ」と言われた。思わず黙り込む。
「上出来だ」
そのまま私のシャツのボタンを外していく中也
さんを見て急いで止める。
「中也さん駄目です」
「何でだよ」
「酔いが覚めたら後悔しますよ」
「しねぇよ」
「其れに・・・普段は酔っても襲わないんですよね?首領に聞きましたよ。」
「そうだが?」
「じゃあ何故私を――――」
再度言葉の途中でキスをされ止められ、少し後に
ゆっくりと離された。
「理由?・・・・・・手前が好きだからだよ」
「〜!?!!」
「珍しく顔が真っ赤だぜ?・・・って事で・・・」
そう言い中也さんは先程の続き・・・服を脱がそう
として来たのだ。
”中也さんが後悔する”
そう思った私は反射的に硬化した手で中也さんの
後頭部を叩いた。(殴った)
「いっ!?」
「・・・酔い覚めましたか?」
「く・・・そ・・・が」
そう言った中也さんが上から覆い被さってくる。
「!???」
「へっ・・・・・・・・・」
「中也・・・さん?」
「・・・・・・・・・スゥ・・・」
・・・この状況で寝たよ此の人!!
ちょっと、如何しよう!?
・・・でも久し振りに人の体温を感じた気がする。
人に抱き締められたのは何時ぶりだろうか。
そんな事を考えながら・・・気付けば寝てしまっていたのだ。



「〜〜!?!」
昨日の事を思い出して戸惑った。
今日の朝や先程まで何事も無かったかの様に接していた事は本当に自分でも頑張ったと思う。
うん、頑張ったなぁ。私。




――――キキーッ!――――

突然、通っていた車が次々に急ブレーキを踏んだ。
その車に当たった車が20メートル程先に居る10歳程の男の子に向かって行くのが見える。
――――ガシャッ――――
気付けば足が動き子供連れに向かって来ていた車を片手で止めていた。
拙い、人通りの多い場所で異能を使ってしまった。
急いで離れないと。
サッと歩いて行こうとした所、不意に服を掴まれ
思わず振り返ると助けた男の子。
「・・・何の用?」
「あ、有難う・・・ご、御座います」
「良いよあの位」
「ぼ、僕も大きくなったらお姉さんみたいに強くなって立派な大人になります!!」
キラキラと目を輝かせ笑顔で言う男の子。
そうか、この子の目には私はそんな風に見えているのか。そんなに立派な大人に見えるのか。
「・・・うん、立派な大人になりなよ」
そう言いポケットに入っていた飴を渡すと笑顔で受け取ってくれた。
「じゃあ、もう行くね」
「うん!またね!!」
手を振る男の子をチラリと見て私は再度歩き始めた。先程悩んでいた事をこれ以上、思い出さないようにして。