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第15話

いろいろ
「中也さん、元気出して下さい」
「出せる訳無ぇだろ・・・」
羽那の言葉に答え溜息を吐いた。
だってそうだろう。
朝からあんな事が・・・あー思い出すな、俺。
あれは事故だ。うん、忘れよう。
「・・・お疲れ様です」
後ろから芥川が挨拶をして来た。
然し何時もと何か違う・・・・・・あぁ、外套は羽織っているが何時ものでは無いからだ。
「よぉ、外套如何したんだ?」
「銀にクリーニングに出す様言いました故」
「そうか」
「あの外套いい加減捨てれば?」
芥川が来たことにより機嫌を損ねた羽那は睨みながら言うと、芥川も「あれは恩師に譲り受けたもの。其の辺のものとは格が違う」と嫌そうな顔で答えた。
「まだ太宰さん何かを慕っているの?」
「・・・貴様に何が分かる」
「分からないから聞いてるんだけど」
「矢張り小娘には分からぬか」
「何だ貧血野郎」
「血を取られたい様だな」
「貧血の吸血鬼・・・?」
「誰が貴様のなど吸うか」
二人のやり取りはまるで俺と太宰の会話だ。
顔を合わせば嫌味、皮肉、悪態。
まァ此の二人、何だかんだで互いを信用してるみたいだから良しとしておこう。
「これ騒がしいぞ」
「!」
気品ある動きと声で二人を黙らせたのは姐さん。
「お疲れ様です」
「これ中也。此の二人が揉めている時は止めんとあの時の様にフロアが使い物にならない状態になるぞ。」と、俺に言ってくる姐さんに戸惑いながらも「あ、姐さん・・・」と言わないで欲しそうな顔で羽那は言った。
「この二人を止めるのは手こずるからのう」
「あの時はお世話になりました」
と羽那は一礼。
はて、あの時とは何だろうか
「姐さんあの時とは?」
「?そうか、中也は知らぬか。」
「はい」
「実はのう――――――――――――」












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任務から帰ると慌ただしくてな。
部下に如何したのか問うた所、ポートマフィアの手柄を横取りした組織の娘が居ると聞きた。「何グズグズしておる!探さぬか!」と私が叱ると申し訳なさそうに「見つかって居るのですが芥川さんが・・・。」言う部下の態度で、芥川がその娘を殺しに掛かっているのを察してのう。
急いでその場に向かったのじゃ。
私は驚いたぞ。
何故なら娘がでは無く芥川が殺されそうになっておったからのう・・・。咄嗟にその娘の腕を切り落としたのじゃ。だが、再生能力を持っている娘は今度は私に襲い掛かってきた。その時に
・・・お主が止めに来たんじゃよ。中也や。

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「そうだったんですね」
「あの後、首領が拷問に掛けようとしたのをお主が止めた時は驚いたものじゃ。後にも先にもお主が首領に歯向かったのはあれだけだったでのう」
そうケラケラ笑いながら姐さんが言った。
「姐さんが止めてくれなければ芥川を私は殺し、ポートマフィアには就けなくなっていました。ですが皆さん、先ず芥川が最初に私を殺そうとしてきたんですからね?」と先程まで黙っていた羽那が口を開き物申す。
「侵入者が何寝ぼけた事を抜かしている」
と冷めた目の芥川。
「芥川、此奴は俺が連れて来たんだぞ?」
「・・・!?・・・・・・もっと良い人材が居た筈では?」
「・・・私に殺されかけた人は黙ってて」
「なら私も黙らないとのう」
「いや、そういう意味では・・・!」
「冗談じゃよ・・・所で中也や。」
不意に此方を向き手招きして来た。
「?何でしょう」と三歩程歩み寄った所、耳に手を添えられた状態で言われた。
「羽那からお主の香りがするぞ?」
「〜!??」
「昨日はあの後如何したのじゃ中也や?」
「否、あれは事故なんです!?」
しまった。
ボロが出た。
「あれとは何かのう?知りたいぞ✨」
「いやいや!何でも無いですから!!」
「・・・・・・ほう、そうか」
「はい」
良かった・・・何とか誤魔化せ――――――――
「羽那、昨日中也に何かされたかえ?」
「昨日ですか?」
「あ、姐さ――――ブッ!!」
姐さんを止めようとしたが金色夜叉が俺の口を塞いだ。かなり異能の無駄使いしてンな。
「さあ、羽那言うのじゃ」
満面の笑みを零す姐さん。
拙い・・・バレる・・・!!!
羽那は一瞬だけ俺を見ると口をゆっくり開いた。
「昨日は・・・そうですねぇ・・・中也さんが酔っていたのでベッドに運んだだけですねぇ。あ、後、酔っ払った状態の中也さんとほんの少し会話を。」
「・・・・・・それだけかえ?」
姐さんが残念そうに尋ねる。
俺も驚いた。
だってあんな事されたんだぞ?
流石に忘れた訳でも無いだろう。
・・・じゃあ何故?
「はい、それだけですが?」
「ほう、なら良かったわい」
姐さんはそう言うとつまらなそうに俺を見てから
歩いて行ってしまった。
「・・・僕もそろそろ行きます」
「あぁ、分かった」
俺が返事をすると芥川も廊下を歩いて行き、少しすると姿が見えなくなったのだった。
「・・・なぁ、手前如何して姐さんに言わなかった」
「ヤられそうになった事をですか?」
「ばっ!手前!?!」
「ははっ・・・冗談ですよ。言ってしまったら中也さんの弱点が増えてしまいますからね。嫌でしょう?
『酔ったら獣になって誰彼構わず襲う五代幹部』なんて言われたら。」
「恐ろしいな」
想像しただけで鳥肌がたってしまった。
「ですよね?だからですよ」
と言うと「では私もそろそろ・・・」と言って一礼をし、芥川が消えた方向へと歩いて行ったのだった。