中也さんから今夜の食事に誘われた3時間後、
私は任された場所を見張りながら思った。
真逆こんな事になるとは。
探偵社の社長と我等ポートマフィアの首領が異能にかかった者同士で争うという異能にかかってしまった。解決案とすれば太宰さんの異能に其の異能者を触れされること、又は解除、又は異能者を殺害すれば良い事なのだが肝心の異能者が見つからず、こうして探偵社VSポートマフィアになっているのだ。
首領は安全な場所に居るし、姐さんが近くに居るから安全なのだが武装探偵社の社長が見つけ出せずに居た。然して何より今現在ポートマフィア内に武装探偵社等が乗り込んで来ているのだ。
「・・・殺すの、かな」
言葉がポツリと出てしまった。
武装探偵社とは一時的な休戦中。
だがその間に彼等と関わってしまい彼等の様々なところを見るにあたり少しばかりだが”情”を持ってしまった気がする。
然し、ポートマフィアの危機なのだ。
覚悟を決めなければ。
首領の危機なのだ。
私情は・・・関係無い。
私情は・・・・・・。
――――•*¨*•.¸¸♬︎♪♪
突然、私の着信音が鳴った。
――――「はい、羽那です」
俺が電話した人物は直ぐに出てくれた。
羽那の所が攻められてない事に少し安心する。
・・・安心してる場合じゃねぇ。
入り口が突破されてしまったんだ。
時間が無い。手短に伝えなければ。
「羽那!聞け」
「はい」
「入り口が突破された。手前は今から地下・・・」
「”素敵帽子君”」
普段呼ばれない呼ばれ方。
急いで前を見ると戦闘系では無い筈の探偵が居た。
「探偵か」
「名探偵だよ」
チッ敵は此処まで来ているのか。
内心焦りながら探偵の話を聞くと違和感がある。
何処か余裕そうに見えるのだ。
何か企んでいるのだろうか。
「前太宰に負けたんでしょ?」
プチンッ俺の癇に障る発言を彼はした。
「重力に潰されてみるか?」
「名探偵に不可能はない」
其の発言が又もや俺は気に入らなく、探偵の腹へと拳を放ったのだが・・・・・・探偵の持っていた謎の本により腕を吸い込まれ離れない。
「!」
「異能のない世界でお互い死ななきゃまた会おう」
探偵がそう言うと引き摺り込まれる感触。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「中也さん!?」
羽那の焦った声が電話越しに聞こえたが返事をする間も無く俺は小説の世界に吸い込まれていく。
――――スルリ――――――――
握っていたスマートフォンが手から滑り落ちた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!