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第13話

私似では無くて。
「寝たね」
「寝ましたね」
地面で寝てしまった中也さんを見て言った。
余程疲れたのだろう。
『汚濁』をしたのだから。
私は先程の光景を思い出した。
中也さんが呪文の様なものを唱えた途端に身体が赤黒く変色。その後の光景は言い表せ無いが、例えるならば”戦場”だった。その戦場を作り上げたのは他でも無い、私の上司。

「さて本来は君に任せたい所だが・・・女性に重い荷物を持たせる訳にはいかないからね。」と言って中也さんを持ち上げた。
「うわ、小さいのに相変わらず重い」
「変わりましょうか?」
「いや、大丈夫だよ」
そう言って笑顔を見せた太宰さんに尋ねられた。
「如何だい?中也の本性を見て。」と。
私は言葉の意味が分からず黙って中也さんを見た。
「ふふっ真逆あれを見てこれを怖くなってしまった訳無いよね?もしそうなら・・・許さないよ?」

















――――パンッ――――
乾いた音が響き、彼の顔が平手打ちにより右向く。
「・・・痛いなぁ」
「裏切り者の貴方に彼を心配する権利は無い」
「裏切り者?よく言うねぇ!君も以前の組織を裏切ったじゃ無いか。元副指揮官さん?」
「!??」
何で此の人がそんな事を・・・
「何で其れを・・・」
「あの組織位だ。ポートマフィアの手柄を横取りして残っているのは。」
「逃げ足が早いだけです。ですが私が貴方の様に自身を思いやる人を捨てた覚えは無い」
私は睨んだ。
目上の人に歯向かうとロクなことは無い。
其れを承知の上で睨んだ。
太宰さんがスゥッと目を細める。
「君は私の事が嫌いな様だねぇ」
「えぇ、大嫌いですとも」
「何がそんなに気に食わないのかな?」
「全てです」
「・・・偉く嫌われたものだ」と溜息を一つ。
だが溜息は直ぐに辺りに溶け込む。
「まぁ私を嫌うのは勝手だけど、帽子置き場の事は嫌わないであげて呉れ給え。」
「当たり前ですよ」



















【太宰said】
隣を無言で歩く彼女を見てやれやれと思う。
私に似ていると言われていたらしいが、如何見ても中也に似ているじゃあ無いか。彼女の忠誠心も誰かを庇う姿も睨む目付きも全て中也そっくりだった。
然して矢張り嫌われているらしい。
まあ仕方が無いだろう。


「・・・・・・中也さんの『汚濁』を止めてくれたのは
感謝しています。」
「・・・御礼言えるんだね!」
ぶっきらぼうに言う姿も中也そっくりだ。
思わず目を丸くしたが何とか答える。
「当たり前です。」
「中也の部下にしては上出来。」
「中也さんは立派です」
彼女はそう反論し私の背中で眠っている中也を
安心した顔で見つめている。



「・・・一つ、教えよう。」
「?」
「裏社会は汚い。然し此のチビは其れを知らない」
そう中也は知らないのだ。
私が組織を抜けた理由を。
彼が忠誠心を誓っている男のせいだと知らない。
「・・・・・・・・・そうですか。」
「ふふっ君には特別に教えてあげたよ」
「では、私からも一つ。」
「何だい?」
「芥川を認めてやって下さい。」
透き通った意思のある目で見つめられる。
矢張り、中也にそっくりだねぇ。































次の日、芥川君を認めたのは言うまでも無い。