2人で上京してから6年が経った
俺は
太我と
はると
3人でバンドを組んでる
おかしいよな
役者になる!!なんて意気込んで上京してきたのに
気づいたら "3B" の内に入るバンドマンになってた
あいつは
大学に行きながら、バイトを頑張ってる
上京したては電車の乗り換えとか全くわかんなくて
よく2人で迷子になってたけど
今じゃ、1人でも迷わなくなった
電車に揺られながら
下品な中吊り広告をボーッとただ流し込んでいた
駅から徒歩2分の自動施錠のワンルーム
結構いい部屋
毎日、撮影して、曲作って、、、
疲れ果てて家に帰るとあいつがいる
それだけで癒された
こんなくだらない会話
こんな楽しい会話
こいつとだから出来てる
今日の晩飯は俺が大好きなパスタ
あいつがペペロンチーノで
俺がカルボナーラ
うまい
うまいけど
茹で上がったパスタはいつも決まって柔らかい
だけど、そんなパスタが好きだ
なんか好きだった
2人でよく行く500円の飲み放題がある居酒屋
洒落たとこなんて俺らには合わないから
行き過ぎてなに飲むかも覚えられてる
あいつが薄めのレモンハイ
俺はビール
薄めで頼んでるはずなのに、たったの2杯で酔うあいつ
でもそこからが可愛い
大将!!
なんて普段言わない言い方をして
得意げに2つ頼んでた
首都高は俺らに見向きもせずに流れて
同じように季節も流れてた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!