何度も聞いてる。
何度聞いても、蒼弥は、あんまりちゃんと答えてくれない。
で、相変わらず私と居る。
私自身は、自分が好きなように生きているし、例えばファッションとかも自分が良いと思って選んでて気分が良くなるものを身につけてるから、私はこれで良い。
でも、蒼弥は、私みたいなの別に好きじゃないと思うんだけど。もっと、きちんとした女の子、のほうが………お洒落の種類も私みたいなんじゃなくてもっとこう、可愛らしいとか甘めの感じの子の方が似合う気もして。
私はあんまり可愛らしい感じじゃないので。
ちょっと考えて、
うーん………ってしてる。
自信満々に即答する蒼弥は、ブレない人。
「俺が隣にいるのが答えでしょ」
と言って、ギュッとしてポンポンしてくれる(伝わる?)。
そう言われても、
私は、私よりももっともっと女の子らしくて可愛い服が似合うふわふわお洒落な子が現れたら、蒼弥はそっちに惹かれるんだろうなって、なんとなくいつも思ってた。
だから、納得いく答えが欲しくて、蒼弥に同じようなことを聞き続けてた。
自信満々に見えても、
心のどこかでは自分の価値がわかんない女子あるあるかな、って。
一生懸命説明してくれてる。
私が、何に引っかかってるのか、蒼弥は分かって話してる感じ。
人によっては、女性って共感して欲しいとか分かって欲しいだけみたいなことも多いから、蒼弥みたいに建設的に説明してこられると理屈っぽく感じる女性もいるかもしれないけれど、私は頭の中が男性的なのか知らないけど、蒼弥のこういうとこすごく好きで心地良かったりする。
前にも言われたことがある気がした。
でも、正直なところ、街歩いてて、蒼弥が好きそうなお洒落してる女の子見かけると、ああいうの出来るの羨ましいなーとか思うこともある。私とは系統が違うから。
蒼弥は、
私を見てふふっと笑った。
蒼弥は、今日初めて、とてもびっくりした顔してた。
私が蒼弥の顔を見ると、
いつもにも増して優しい顔してくれてる。
言ったあとに、蒼弥は、
照れ笑いしてる。
どこに照れたのか謎だけど、俯いて、笑ってた。
じーっと蒼弥を見ている私に、
不安そうに「答えになってなかった…?」と小さく尋ねるから、ちょっと可笑しくなっちゃって。
無邪気に笑い出す蒼弥、ってとこまでが、いつものワンセットなのです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。