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第1話

〜撮影〜
89
2019/07/20 10:05
唯斗
初めて会ったときから…好きだったんだ!
絶対幸せにしてみせる!
ディレクター
はーい、カット!
唯斗くん、今日もバッチリだよ〜。
唯斗
ありがとうございます。
女優
唯斗く〜ん、お疲れ様!
私、ドキドキしちゃった!
相手役の女優が近づいてくる。
唯斗
そっちこそ、お疲れ様。
君の演技も素晴らしかったよ。
女優
ほんと!?
唯斗くんに褒められるなんて…嬉しい!!
スタッフ
唯斗くん、お菓子ここにあるから食べてね〜!
スタッフ
飲み物とタオルもあるよ!
唯斗
ありがとうございます。それじゃ、お言葉に甘えていただきます。
俺は、テーブルに置いてあるお菓子や飲み物などをいくつか手に取って楽屋へ向かった。
ガチャ 
ドカッ
楽屋のドアを開け、早々にソファに座る。
唯斗
あー、疲れた。
ったく、どいつもこいつも媚び売っりやがって。あの女優の演技、下手くそすぎだろ。スタッフもどっちも女性で、俺以外には声すらかけてなかったし。
ガサッ


手になにかあたった。
ん?そーいや、菓子もらったんだっけ。俺甘いもん苦手なのにマジでメーワク。どうすっかな、これ…。
ガチャ


楽屋のドアが開いた。
梨花
唯斗、まーたそんなくつろいで。
唯斗
お、梨花ちょうど良かった。これ、もらってくんね?俺甘いもん苦手だからいらねーし。
俺は梨花にお菓子を差し出す。
梨花
まったく、人気俳優が聞いて呆れるわね。それと梨花"さん"でしょ?
唯斗
はいはい、梨花さん。
梨花
はいは1回!もう…。
ぶつぶつ言いながらも梨花はお菓子をもらってくれる。
今までの流れで分かるとは思うけど、俺、宮前唯斗みやまえゆいとは人気若手俳優だ。芸能人と聞いて羨ましがる人もいるけど、実際は愛想を振りまかなきゃなんないから毎日うんざりしてる。
そして、さっき話してた楠原梨花くすはらりかは俺のマネージャー。歳が近く、なんでも気軽に話せる。俺が今1番心を開いている人。
梨花
唯斗、明日から新学期でしょ?学校行きなさいよ。
唯斗
は?めんどくせー。
梨花
は?じゃないわよ。新学期初日くらい行ったら?クラスとか気にならないの?
唯斗
梨花うるせぇ…。
梨花
なんですって!?
唯斗
おー、こわこわ。わーったよ、学校行きゃいいんだろ?
梨花の鬼の形相に負けてつい学校に行くと決めてしまった。
梨花は怒らせるとめんどくせーんだよな。
それと…迷惑かけたくないし。




























梨花は俺の"恩人"だから。




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