学校に行く途中、突然俺の名前が呼ばれた。
あのバカでかい声は…
別に親友になった覚えはないんだけど。
心の中で毒づく。
コイツ、赤尾駿佑は小学校から同じ学校。受験した学校がたまたま同じだっただけで、それまでは何の関わりもなかったのに中学に入った途端、やたらと付きまとわってくるようになった。とにかく明るくて俺とはほぼ真逆の性格だ。
ほら、今みたいにめちゃくちゃ大きい声で騒ぐからうるさいったらありゃしない…って
あぁー!!バレた!
マスクと帽子と伊達メガネでバッチリ変装したのに!
あのバカ!あんな大きい声で名前呼んだらバレるに決まってるだろ!
俺は駿佑に声を掛けて全速力で走った。
ここまで来ればもう大丈夫だろう。
俺は文句を言ってやろうと駿佑のほうを向いた。
しかし、
当の本人は全く息切れしていなかった。それどころかまだまだ走れそうだ。
そうだコイツ毎年マラソン大会全校1位だっけ…。
駿佑はアクション映画とかにスーツアクターなしで出れるんじゃないかってくらいに運動神経がいい。
今度梨花に話してみようかな…。
俺はまだ上がっている息を呼吸で整えながら駿佑の後をついて行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。