第64話

彼女は原石
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2020/08/24 08:00



滝沢side



どうやらあなたはこの後レッスンがあるらしくて


話が終わるなり部屋をあとにした。


副社長室には自分と少年忍者マネージャーの花巻


実を言うと俺たち2人は高校の同級生で


プライベートでも昔から仲が良かったりする。










忍マネ「思ってたよりすんなり承諾しましたね」





『2人のときくらい敬語外せよ笑』





忍マネ「そんなそんな!副社長ですからぁ!」





『馬鹿にしてるだろ………?』





忍マネ「さーせん、」










いつまで経っても学生時代のノリが抜けなくて


2人だけで話していると今でもふざけ合う。


俺がアイドルを引退して副社長になってからも


花巻との関係は何一つ変わらなくて


それが心地良いな、なんて時々思ったり……










『あなたのことはジャニーさんに頼まれてたからな』





忍マネ「え、どういうこと?」





『"彼女は原石。Youに任せたよ。"ってね』





忍マネ「それってどういう……」





『俺も詳しいことはわからない』





忍マネ「あなたは振付師としてスカウトされたって
   本人の口から聞いたけど?」





『実際ジャニーさんもそう言ったらしいな。
 "少年忍者のダンス指導と振付けを任せたい"って』





忍マネ「ますます訳がわからん」





『あとジャニーさんはこうも言ってた。
 "まだ早い。彼女には足りてないよ。"って…』





忍マネ「それっていつの話?」





『ジャニーさんが亡くなった日のちょうど1週間前』





忍マネ「そうか、、」





『俺、なんとなくだけど思うんだよ』





忍マネ「ん?」





『最近のあなたは変わった。
 どう変わった、って言うのは難しいけど……
 ジャニーさんが"足りない"って言ってた輝きを
 今の彼女は手に入れたんじゃないか?』





忍マネ「それは、俺も思う。
   あなたはどんどん綺麗になってる。。」





『まあ、彼氏が出来ればなぁ………笑』





忍マネ「は?なんでお前それ知ってんの?」





『だいぶ前から知ってたけど?』





忍マネ「その、事務所的にどうなんだよ、
   ジャニーズJr.に彼女がいるのって……」





『ダメに決まってるだろ』





忍マネ「だよな……」





『副社長として言わせてもらえば、な。』





忍マネ「へ?」





『さっきも言ったけどあなたは変わった。
 その原因が恋をしたことだったとしたら……
 まあそれに檜山なら馬鹿な真似はしないだろ、
 あいつもだいぶ歴が長いからな。』





忍マネ「タッキーも変わったなぁ……
   アイドル時代はめっちゃ厳しかったのに笑」





『タッキー呼び気持ち悪いからやめろ?』





忍マネ「へいへい、滝沢副社長()」





『お前は本当に変わらないよな…笑』

























ジャニーさんって本当に掴めない人だったけど


今ならあの日の言葉の意味がわかる気がする







       "彼女は原石"







ジャニーさん、見てくれてるよね?


彼女はジャニーズの……いや、きっとこれから、


もっともっと多くの人にとってのお姫様になるよ。








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