あなたside
監禁されて何日かたった頃、
“梵天”の誰かに寝かしつけてもらうということが習慣化してきた。
その時間が今日、少し早かった。
私を寝かしつけたあとは多分、みんないつもリビングに行って仕事を処理している。
今日は蘭さんがその役だ。
私は寝たふりをして、蘭さんがリビングに行くのを待つ。
蘭さんは、私が寝てることを悟ると、
蘭「おやすみ」
と一言言い、私の額にキスを落として部屋を出た。
その後、しばらくして家に数人が入ってきた音がした。
「_______。」
続いて何人か家に入ってくると、
なにかの話し合いが始まった。
気になってドアに耳を当てて聞き耳を立てると、
三途さんの声がした。
三途「花垣武道と羽宮一虎が梵天を嗅ぎ回ってるらしい。」
『!?!?!?』
あのタケミっちと、一虎くんが…?
もしかして、千冬も関わってるかも………。
万が一……億が一かもしれないけど、
みんなが私のことを見つけてくれたら、
助かるのかもしれない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!