あなたside
三途さんが帰ったあとも、
鶴蝶さんは恐怖で動けなかった私のメンタルケアをしてくれた。
鶴蝶「アイツは元々やばいやつだったらしくてさ、」
鶴蝶「何年か前からクスリヤッてたんだよ。」
鶴蝶「怖い思いさせてごめんな。」
無言の間を縫うように鶴蝶さんが三途さんの話をしてくれた。
鶴蝶「こんなこと言ったらもっと怖くなるかも知んねぇけど、」
鶴蝶「“梵天の歯車に合わないやつは死体”
って言葉、あなたもそん中に入ってんだよ。」
『…は?』
なんで、と言おうとして口を開けると、鶴蝶さんは優しく笑って。
鶴蝶「昔からあなたと知り合いのやつ、マイキーは特にあなたを逃したくないって強く思ってると思う。」
鶴蝶「だからもし、万が一あなたが逃げたら___」
鶴蝶「 」
鶴蝶が言おうとしたことは、聞きたくなくて耳を塞いだ。
なぜ、今そんなことを言うんだろう。
やっぱり怖い。
“梵天”はやっぱり狂っている。
逃げたい。
でも逃げたら_____________
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。