次の日
学校に来ると、私と岩泉くんの関係がみんなに知れ渡っていた。
「ねぇあれって……」
「え。マジ?あの噂って本当だったの?!」
「なんであんな陰キャに……」
目線を感じ体が縮こまる。
気まずさで顔をあげられないでいると、
横から思いっきり抱きしめられ思わずよろけそうになる。
春乃はワハハと笑うと、
また私の体をぎゅーと抱きしめた。
ドキッと心臓がなった。
一昨日告白されて、昨日初めて一緒に帰ったけど……
もう他のクラスにも広がってるなんて……
顔を真っ赤にして答えると、春乃はきゃーと騒ぎ始めた。
にっこりと、まるで自分の事のように、喜んでくれている。
ハルノ
"春乃"は私の唯一の友達。
高校1年の時、同じクラスだった。
授業で2人組になるという指示が出た時、
私だけ、相手の人が見つからないでいると、春乃は声をかけてくれたんだ。
春乃は私とは違い、明るくて、優しいし、男女から人気が高い。
……私の親友でもあり、憧れでもある。
お互い笑いあっていると、春乃は何かを思い出したように
ポンッと、手を叩いた。
ひらひらと手を振りながら、春乃は同じクラスと子達の所へ行ってしまった。
今までも、春乃とはよく遊びに行ったりしたが
今年は違う。
昨日の放課後の事を思い出すと、思わずにやけてしまう。
何をしよう。
いつ会えるのかな。
どんな服きればいいんだろう。
他の子と一緒に出かけるなんて、あんまりないのに……
男の子とは初めてだ。
いつの間にか、周りからの冷たい視線は気にならなくなっていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。