第12話

夏 休 み 編
2,001
2021/02/06 07:09

岬 あなた
ただいまー


返事はない。





誰もいない部屋で、1人靴を脱いでリビングへ向かう。








ボフン









ふっかふかだぁ〜



ソファーの上にねっころがりながら、そっと瞼を閉じた。
















今日は、楽しかったなぁ








最初の方は全然話せなくて、気まずかったけど……









春乃が会話に入れてくれて、久しぶりにいっぱい笑った。









岬 あなた
あ!そうだっ







鞄からスマホを出し、連絡先一覧を見る。








岬 あなた
ふふふ








新しく花巻、松川と、連絡先を交換したのだ。





岩泉の時から、この画面を見るのが幸せでならない。









岬 あなた
(ん?待てよ……)









私……



スマホを見ながらニヤニヤ笑ってる、変なやつなんじゃー……?








いやいや、今は私しか家にはいないし、大丈b────────
















お母さん「何してるのよ」

















後ろから突然声をかけられ、心臓が飛び出るかと思った。








岬 あなた
お、お母さん!?










お母さん「ちょっと忘れ物取りに来ただけ。すぐまたいかなきゃいけないから。

家の事、頼んだわよ。」













そういうと、近くにあった茶色い封筒を手に取り、玄関に向かう。


途中、こちらを見ながら、聞いてきた。
















お母さん「なに。あんた……彼氏でもできた?」




















岬 あなた
え?えぇ!ど、どうして






あからさまに顔を赤くして、慌てている自分に、

お母さんは、全てお見通しかのように笑った。












お母さん「親っていうのはね。子供のことならなんでも分かっちゃうんだから。

また今度、詳しく聞くから覚悟しときなさいよ!」















ふふふ、と悪っぽく笑いながら、お母さんは出ていってしまった。




岬 あなた
(なんでも分かっちゃうのか……)





お母さんはいつだってそうだ。











小学生の頃、いじめを受けていた時。






私は、少しでも心配をかけたくなくて、ずっと黙っていた。







なのに、すぐに知られてしまって、結局転校までさせてもらった。









きっと、高校でも、



私が友達少ないこととか、きずいてるんだろうな。












その事を深く聞いてこないことをありがたく思う。




















岬 あなた
そういえば!夏祭りのこと話してなかったな。





誰かと遊びに行くことはあんまりしない私だから、








お母さんはどんな反応をするだろう。




























あと1週間……






私にとって、忘れられない一日になるだろうなと、そう思いながら、


また、瞼を閉じた。


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