とうとう来ました夏休み!
小学校の時から夏休みはあったけど、今年の夏休みは今までより何倍も楽しみです!
お母さん 「あなたーちょっと来てー」
1階から名前を呼ばれ降りてみると、スーツをきたお母さんの姿があった。
お母さん 「そう。明日の朝まで帰れないと思うから。家の事は任せたわよ。」
そう言うと、髪を結びながら玄関に向かう。
返事はなく、ガチャッと鍵の閉まる音だけが聞こえた。
自分の朝ごはんを作りながら思う。
私がまだ小学生だった時、両親が離婚した。
それからお母さんは毎日のように、夜遅くまで働くようになっていった。
すると必然的に私も1人で過ごすことが多くなり、昔から家事はほとんど自分でしている。
寂しいとか、そんなふうに思うことはあまりない。
私が欲しいものは買ってくれるし、高校進学の時も、何か言われることは無かった。
ただただ興味がなかっただけかもしれないけど、私は自由にさせてもらえているので、不満はない。
なかなか恥ずかしくて、言うタイミングが掴めない。
朝ごはんを食べ終わると、特にすることもないので
自分の部屋から少女マンガを取り出して読む。
私は……岩泉くんのことが好きなのかな…?
もうずっと前に、好きという気持ちを忘れてしまった。
彼氏いない歴 = 年齢 の私は恋愛の初心者もいい所なんだろうな
これから好きになってくれって言われたけど……
きっと彼も、本心は不満なはず。
岩泉くんはほんとぉーに優しくて、
だから気を使ってくれてるんだと思う。
楽しみなんだけどなー
今でも夏祭りのことを考えると、ソワソワする。
なのに、好きなのかと聞かれると、どう答えていいのか分からない。
ポロン
春〖おはよぉー!映画行こって話覚えてる?〗
春〖昨日から公開されてるし、月曜日ならいつでもOKでーす!〗
すぐさま返信しようと、カレンダーを見る。
案の定、春乃と岩泉くん以外と約束なんてしていないので
月曜日は全て空いていた。
〘じゃあ今度の月曜日はどうかな?〙
〘私はいつでも空いてます!〙
春〖おっけーい!今度の月曜日にしよ!楽しみぃ〗
ポロンと着信音がなると、ぞうのスタンプが送られてきた。
ふふっ、と1人で笑う。
無料で使えるものだったので、私も春乃に送ってみる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!