次の日の楽屋
ガチャッ
ふぅー…
私はこの空気に対抗するように深呼吸をした。
そこには怪我をしてるちーちゃんの姿が。
私の頭の中で何かブチっと切れる音がした。
そう言って突き飛ばした
私の腕が机の角にあたり血が出てきた。
バタンッ
腕から流れる血を見て、涙が溢れてきた。
…もう無理かもしれない。
でもここで辞めたらあいつに負けたことになる。
それだけは意地でも避けたい。
…あと1時間で撮影が始まる。
頑張るしかないか。
スタジオ_
私は殺気溢れた目で睨み返した。
…メンバーでもなんでもない?
それを聞いた瞬間、涙が溢れてきた。
私はみんなに聞こえないようにそっと深呼吸をした。
私は緊張とかストレスを感じると、必ず深呼吸をする。
ジュニアの頃からステージに上がるとしていて、癖になった。
その時はまさかメンバーにいじめられるなんて思ってもいなかっただろう。
よし、頑張るか。
もう一度だけ深呼吸をし、みんなの元へ向かった。
撮影終了後_
私はもう仕事場で花蓮ちゃんしか頼れないんだ…
みんなに言い返したかったが、本当にそうだったらどうしようという不安もあり、なにも言えなかった。
私は重い足取りで社長室へ向かった。
コンコン
ガチャ
少し肩の荷が下りた気がした。
そう、私はなにもしていないんだ。
この前の私でいいんだ。
…でも現実は次々と襲ってくる。
頑張れ私。負けるな私。
複雑な気持ちで楽屋へ向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。