お互い笑顔で手を振り、部屋へと戻る。
ナルトも、あなたも、玄関のドアを背にし、にっこりと微笑んだ。
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フゥーとキセルの煙を吐き、三日月を見ながら、険しい表情で重たい口をあける。
それは月夜がこの里に来る
1週間前のことだ_____________。
木の葉の里は、暑い真夏にも関わらず、夜、小雪が少し降り始め、やがて俄雪となり、朝には消えていた。
ちょうど、今日のように月がよく見える、晴れた夜空の日にだ。
当然、里の者達は、この異常気象に不安を抱き、念の為、火影様直属の命の元、カカシおよび、かつての暗部の仲間と共に、木の葉周辺の様子を探っていた。
暗部の一人が指を指し、カカシはその方向を、目を細め観察する。
それから、様子を見に行こうと、月ノ里の近くまで来る。すると、やはり人の気配どころか、声すら聞こえなかった。
それに、近くに来た途端、気温が木の葉里よりも低くなったのが分かる。
最初は氷の塊だと思った。
しかし、よく見ると、氷の塊の中に人の"片足のみが閉じ込められている。
カカシの嫌な予感は、月ノ里の入口ですぐに的中した。
建物や地面、植物、そして人間に生き物。
月ノ里にある物、全てが氷の塊に閉じ込められ、氷の世界と化していた。
それから各地で生存者の確認と"里がこのようになった原因"を探していた。
ジャラ……ガシャ…。
声のする方向へ向かうと、地面があったであろう場所は、底が見えない程の大穴があった。
その手前には、怪我をしている少女の姿が見える。
瓦礫をよじ登り、穴に落ちないよう、慎重に近寄ってみる。
しかし、少女は俺に気づいていないのか、ボソボソと、何かに対しての謝罪をしていた。
手を差し伸べた瞬間、少女は気づき目が合う。
こちらに気づき手を払いのけると、俺を睨み、歯軋りをしていた。
少女の体は凍傷による怪我なのか、身体の至る所が酷く、青紫色に変色していた。
そして、もう1つ。気になる点があった。手足には枷があり、鎖ちぎれた跡がある。
服も、髪も、ボロボロで、何とも痛ましい姿だった。
そんな子を、ここで放っておく事は出来ない。
消えそうな声を出し、少女は涙を浮かべる。
ナルト達と変わらない年齢の子だろうか?
この子に何があったのかは、まだ分からない。
しかし、俺はどうしても無視をする事が出来なかった。
なるべく、彼女を怖がらせないようにと、俺は前にしゃがみ込み、彼女の手をそっと両手で挟み握りしめた。
すると、驚いたのか肩をビクッとさせ、俺の顔を見た。
彼女に少しずつ、自身の事を信用してもらおうと、木の葉についての話や、自分の日常の話を淡々と語る。
そうしていくうちに、彼女の震えは止まり、真剣に聞いてくれていた。
月夜は口を噛み締め、俺の手を強く握る。
月夜は小さく頷くと、俺の背中にしがみつき、肩車の形でしっかりと抱えた。
月夜はしっかりとしがみついていた。
そのまま月ノ里を抜けると、簡易的に設営したテントが見える。
怪我人を想定し、テント内には暗部の医療
班が中で待機をしている。
月夜を降ろすと、俺の手を握ったまま、中へと案内した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。