第8話

あの日の夜
3,579
2023/08/26 03:15
うずまきナルト
くったくった〜!あなたも、一楽の虜になったみてぇだし、俺、すっげー嬉しいってばよ!
月夜(夢主)
あははっ。ナルトくん、お金出してくれてありがとう。次は、私に奢らせてね。
うずまきナルト
ああ!楽しみにしてるってばよ!
じゃあ、またなあなた!
月夜(夢主)
ナルトくん、またね。
おやすみなさい。
お互い笑顔で手を振り、部屋へと戻る。

ナルトも、あなたも、玄関のドアを背にし、にっこりと微笑んだ。
うずまきナルト
またね……か。にしし
月夜(夢主)
おやすみナルトくん。
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はたけカカシ
火影様、夜分遅く失礼いたします。
猿飛ヒルゼン
入れ、カカシ。あなたについて話をしよう。少し話が長くなるがいいか?
はたけカカシ
はい、大丈夫です。
フゥーとキセルの煙を吐き、三日月を見ながら、険しい表情で重たい口をあける。
猿飛ヒルゼン
カカシよ、知っての通り…。あの事件が起こる前、あの子は、月ノ里の地下にある檻に入れられていた。何故だか分かるか?
はたけカカシ
いえ……詳しくは分かりません。
私が、任務で様子を見に、月ノ里に行った時、あの子は外にいて、怪我をしていました。それと…鎖で繋がれた形跡が…。
猿飛ヒルゼン
…成程、やはりな。お前があの里に行く前、木の葉の里は、冬のように寒かった。覚えておるな?
はたけカカシ
えぇ、勿論です……特に"月ノ里"の事は。
          それは月夜がこの里に来る
1週間前のことだ_____________。
木の葉の里は、暑い真夏にも関わらず、夜、小雪が少し降り始め、やがて俄雪にわかゆきとなり、朝には消えていた。

ちょうど、今日のように月がよく見える、晴れた夜空の日にだ。

当然、里の者達は、この異常気象に不安を抱き、念の為、火影様直属のめいの元、カカシおよび、かつての暗部の仲間と共に、木の葉周辺の様子を探っていた。
暗部
カカシ隊長、あそこ……何やら変じゃないですか?
暗部の一人が指を指し、カカシはその方向を、目を細め観察する。
はたけカカシ
確か……あそこには月ノ里があるはずだ。確かに妙な雰囲気だな。
暗部
カカシさん。
あの……俺達は月ノ里とはあまり関わりがないので、どういった場所なんですか?
はたけカカシ
木の葉の里が出来る前からあった、小さな里だよ。何でも、伝統的な文化があるから、木の葉の里とは"貿易のみ"繋がっているそうだ。
それから、様子を見に行こうと、月ノ里の近くまで来る。すると、やはり人の気配どころか、声すら聞こえなかった。

それに、近くに来た途端、気温が木の葉里よりも低くなったのが分かる。
暗部
カカシさん!……これ……
はたけカカシ
どうした……!これは……。
最初は氷の塊だと思った。
しかし、よく見ると、氷の塊の中に人の"片足のみが閉じ込められている。
はたけカカシ
……里の中に入ろう。これは、嫌な予感がする。念の為に他の隊に連絡を。
暗部
了解しました。
カカシの嫌な予感は、月ノ里の入口ですぐに的中した。
暗部
こんな事って…………。
はたけカカシ
一体……何があったらこんな事になるんだ。
建物や地面、植物、そして人間に生き物。

月ノ里にある物、全てが氷の塊に閉じ込められ、氷の世界と化していた。
暗部
カカシさん、ただ氷っているだけでは無いですよ……。倒壊したまま建物が凍り……人も動物も"ナニカ"から逃げる素振りのままです。
はたけカカシ
……とりあえず、生存者が居ないか確かめよう。これは、俺達だけでの原因解決は無理だな。
暗部
分かりましたカカシさん。では、各自で手分けしましょう。
それから各地で生存者の確認と"里がこのようになった原因"を探していた。


はたけカカシ
……人の仕業とは思えないな。
ジャラ……ガシャ…。
……なさい……ごめん……なさい。
はたけカカシ
……!誰かいるのか!?
声のする方向へ向かうと、地面があったであろう場所は、底が見えない程の大穴があった。

その手前には、怪我をしている少女の姿が見える。
はたけカカシ
君…大丈夫?怪我は?
瓦礫をよじ登り、穴に落ちないよう、慎重に近寄ってみる。

しかし、少女は俺に気づいていないのか、ボソボソと、何かに対しての謝罪をしていた。
私は...悪くない私は私は……
はたけカカシ
大丈夫?手をかそうか...
手を差し伸べた瞬間、少女は気づき目が合う。
こちらに気づき手を払いのけると、俺を睨み、歯軋ハギシリりをしていた。
私に…私に触らないで……!!
はたけカカシ
そうもいかないでしょ…?君、その体の傷ほおって置くと死ぬよ?
少女の体は凍傷による怪我なのか、身体の至る所が酷く、青紫色に変色していた。

そして、もう1つ。気になる点があった。手足にはカセがあり、鎖ちぎれた跡がある。
服も、髪も、ボロボロで、何とも痛ましい姿だった。

そんな子を、ここで放っておく事は出来ない。
死んでもいい…私は…私は…生きてちゃ駄目なの…。
消えそうな声を出し、少女は涙を浮かべる。

ナルト達と変わらない年齢の子だろうか?

この子に何があったのかは、まだ分からない。
しかし、俺はどうしても無視をする事が出来なかった。

なるべく、彼女を怖がらせないようにと、俺は前にしゃがみ込み、彼女の手をそっと両手で挟み握りしめた。

すると、驚いたのか肩をビクッとさせ、俺の顔を見た。
はたけカカシ
俺の名前は、"はたけカカシ"。
木の葉の里で、君と同じぐらいの歳の子を持つ先生をしているんだ。
先生……?
はたけカカシ
そうだよ。3人いるんだけどね。
2人は男の子で、1人は女の子。
皆、忍びの卵でね...。だから君の事、ほおって置けなくてね。
彼女に少しずつ、自身の事を信用してもらおうと、木の葉についての話や、自分の日常の話を淡々と語る。

そうしていくうちに、彼女の震えは止まり、真剣に聞いてくれていた。
…カカシさんの話もっと聞きたい…。
はたけカカシ
ほんと?嬉しいな……。じゃあ、その前に…。その怪我と格好、どうにかしなきゃね。そういえば君の両親とか知り合いは見なかった?
……っ…いま…せん。
はたけカカシ
ん?どうしたの?
月夜(夢主)
私には、そんな者は居ません。ただ…月夜あなた。私が唯一持っているものです。
月夜は口を噛み締め、俺の手を強く握る。
はたけカカシ
そっか……じゃああなた。
俺の肩に捕まって。
月夜は小さく頷くと、俺の背中にしがみつき、肩車の形でしっかりと抱えた。
はたけカカシ
揺れると思うから、振り落とされないように捕まっててね。
月夜はしっかりとしがみついていた。
そのまま月ノ里を抜けると、簡易的に設営したテントが見える。

怪我人を想定し、テント内には暗部の医療
班が中で待機をしている。

月夜を降ろすと、俺の手を握ったまま、中へと案内した。

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