第9話

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2024/04/16 08:01
医療班
カカシさん!来てください!
はたけカカシ
どうした?
医療班
彼女、私たちが傷を見ようと触れたら、暴れてしまうんです!
カカシさんどうにかして下さい...。
はたけカカシ
分かった、今すぐ行く。
テントに入ると、ベットで暴れまわり掴み掛かる月夜が居た。

止めようとするが、その者の腕に噛み付いたり、まるで獣を相手ような様子だった。
月夜(夢主)
私に触るな!!全員殺すぞ!!
医療班
落ち着いて!怪我を見るだけよ!
きゃっ________!!
はたけカカシ
あなた、落ち着くんだ。
医療用のメスを、突き刺そうとした瞬間。彼女の腕を掴み、ギリギリで止めた。
そして、我に返ったのか、俺の顔を見て大人しく座り一言「ごめんなさい……。」と謝罪をする。
はたけカカシ
不安にさせちゃったね。俺が近くにいるから、治療させてもらおう?
そういうと大人しく治療をさせるようになった。

一通り傷の手当を終え、俺の寝泊ネトマまりするテントに連れていった。

すると、疲れていたのだろう。そのまま、食事をすること無く、寝てしまった。
はたけカカシ
まぁ、いいか……。
そっと布団を上からかけると、少し身をよじり、寝息を立てている。そっと月夜の頭を撫で、ゆっくりと口を開いた。
はたけカカシ
君は一体……。
医療班に、後から聞いた話だ。
凍傷の傷跡は、どうやら外敵損傷ガイテキソンショウでは無く、自信の体内で起こったものらしい。

そして、驚く事に、彼女の凍傷の傷はゆっくりではあるが、自然と自身で治癒チユしているとの事。

普通の人間では、ありえない事だ…ただ1人を除けばだが。

俺はそのまま、彼女の寝ている側で目を閉じた──────。

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猿飛ヒルゼン
カカシよ、わしは月ノ里の出来事、あなたが起こした物だと考えておる。
はたけカカシ
何故ですか火影様。
あの子にそんな事が出来るとは思いません。
火影様は目を細め、吸っていたキセルをテーブルに置く。そして、何か思い詰めた険しい表情を浮かべ、口を開いた。
猿飛ヒルゼン
ワシもそう思っていたが…あの後、大穴の調査をしに行った際、地下牢の痕跡。
そして、唯一1名、生存者の証言を得た。かなり重症だったがのぉ。その男から聞いた話だ。






事件が起こる前日の月ノ里━━━━━━━━━。
月ノ里(人)
あはは、今日も楽しかったな!
月ノ里(人)
木の葉との貿易のおかげで、この里に出らず共、安心して生きていけるしなー。
月ノ里(人)
いやそれはどうかな……この里には……。
“”ゴゴゴゴゴッ━━━━━━━━━━!!!!“”
それは突如だった。
里全体が揺れ始め、皆、頭を守る形で地面に座り込む。

しばらくすると地響きは収まり、皆立ち上がる。

しかし、安堵の声とは裏腹に、里長が後ろから血相を変え、こちらに何か叫んでいた。
月ノ里(里長)
皆、ここから逃げるんだ!!!!
月ノ里(人)
里長、どうされたのですか?
月ノ里(里長)
早くここから逃げ……




パキ……パキッ…パキパキ"ピシッ”!!
メリメリメリッ!メリメリメリッ﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏!!





「「‪”‬‪”‬ドオオオオオォォォ━━━‪ン”‬‪”‬!!!!」」






爆発音のようなものが鳴り、後ろを振り返る。
すると、里の中心地は巨大な穴が空き、中心から人々が叫び声を上げ消えて行く。
月ノ里(人)
みんな建物に捕まれ!月ノ里全体が!!斜めになっている!早く!早くァァ……ぁぁああああああ!
月ノ里(人)
ギヤァァァァ━━━━━!!
穴の中心地から、全体に亀裂が入ると共に、地面が割れ、傾き、皆、必死に建物に捕まる。

しかし、段々と地面の角度が上がるにつれ、建物も浮き上がり、耐えきれず、そのまま穴へと落ちて行く。

瓦礫の雨が降り注ぎ、次々としがみついていた人々は、まるで蟻地獄アリジゴクゴトく、大穴に落ちていった。


そして、その穴からは不気味な獣の唸り声と共に、気温が一気に下がると共に

━━━━‪”‬ズシンッ‪”‬!!と里全体が平行に戻る。


数名の生き残った者が、身体を震わせ、その様子を見守っていた。
月ノ里(人)
あぁ……こんな事……ありえねぇ。
こんなことが出来るのは”アイツ”しか居ねぇ……!!
月ノ里(里長)
あなたよ!ワシの命を捧げる!
だから……これ以上はやめ……
月ノ里(人)
里長!近づいてはダメです!!
放心状態の里長は、ふらふらと大穴に近づく。すると、この天災を引き起こした化け物が穴の中から、ゆっくりと顔を出した。

夜空の月を覆い隠す程の十五本の尻尾。
天高く突き上げ、禍々しい唸り声と共に、大穴から真っ白な尖った耳に、恐ろしくも美しい琥珀色の瞳を、大きく見開いた。


里長は、あまりの恐ろしさに腰を抜かす。
十五本の尾を持つ化け物は、穴の縁に手をかけ、鼻の先を村長の体に付けるや否や、‪”‬ニタァァア”━━━━━━。と限界まで、口角を上げだ。
月ノ里(里長)
あ……‪”‬十五尾‪”。
‬……最悪だ……悪夢だ…ははっ!ははは!終わりだ!月ノ里はもう、お終いだ!!
里長を見るや否や、琥珀色の瞳を更に大きく見開き、地面に爪を立てる。
十五尾
ガルルルル……よくも好き勝手してくれたな……
月ノ里(里長)
あっあぁ……あぁあ……!
十五尾
この里……いやこの世界は俺様が……
月ノ里(里長)
ぁあ……いっ……やめろ﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏!!!
十五尾
━━━━━━殺し尽くす!!!!
(皆殺しだ!!)
_______________バッグンッ!!
里長は気づけば、十五尾に一瞬にして食い殺された。その後は、もうどうしようも出来なかった…。

ただ、この里が滅んでいくのを眺め、目を覚ました時には、十五尾の姿は消えている。
残ったのは氷漬けの里と、冷えきった体に植え付けられた"恐怖"のみになっていた。

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猿飛ヒルゼン
その後、彼は凍っていき息を引き取った。十五尾、目で見たことでは無いが、嘘とは到底思えない。
なんて事だ…そんな話すぐに信じられる訳が無い。

十五尾だと?あなたがその人柱力?月ノ里を滅ぼしたのはあの子だと……そんな……。
猿飛ヒルゼン
わしも最初は信じられなかったがのぉ……あの里を見れば分かるじゃろ?あれは人知を超えている。
はたけカカシ
…火影様、この事は俺と火影様しか知りませんよね?
猿飛ヒルゼン
うぬ勿論だとも。しかし、ワシは十五尾という尾獣を、資料など探ったが…どこにも書いていない。これはワシらで、どうにかせねばな。
はたけカカシ
はい……分かっています。あの子を助けた時から覚悟はしていたので。
猿飛ヒルゼン
……そうだのぉ。しかし何が原因で暴走したのかは分からない。だからこれをあなたに渡してくれ。
火影様は丁寧に俺に箱を渡すと、中を見るようにウナガす。そっと開けると、中には、真っ黒な宝石のピアスが1つだけ入っていた。
はたけカカシ
火影様、これは?
猿飛ヒルゼン
話してくれた男から最後に渡された物だ。

なんでも、それがあればあなたが暴走した時、抑えてくれる品物との事。
はたけカカシ
分かりました。明日、あなたに渡します。
猿飛ヒルゼン
カカシ、あなたの事を頼むぞ…。あの子にはいずれ自分と向き合う日が来る。それまでに制御する方法を見つけねばならぬ。わしもできる限りの事はしてあげようと、身構えてはおるからのぉ。
はたけカカシ
それは俺も同じですよ……火影様。

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