その場にいる全員が、恐ろしい程の殺気を感じた。
カカシは、慌てて月夜の頭を伏せると、大声を張り上げた。
全員頭を下げた瞬間_______________
右の木から何かが頭上を掠り、風を斬る音と共に、刀がブーメランのように隣の木に刺さり、後ろを振り返る。
そこには大刀を足場代わりにし、堂々たる風格で立っていた1匹の鬼。
その刀の大きさに一同唾を飲み込んだ。
カカシは、前に出ようとするナルトを、後ろにする。
額からは自然と汗が流れ、その様子を見た月夜は、すかさずクナイを取り出し、身構える。
カカシはマスクで隠していた右眼を、出す。
その瞳は、勾玉模様の、真っ赤な妖しい輝かせていた。
その瞳はどこかで見覚えがあった。
何処か真っ暗な場所で……
再不斬が動きだし、片手をあげる。
すると、肩より上の位置で印を結び出した。
術を唱えると同時に、辺りの景色が一変する。
霧が広がり、視界があやしくなっていった。
再不斬の姿が見えなくなり、見渡せない恐怖が広がる中、再不斬の不気味な声が響き渡り、ナルト達の不安をより煽る。
更に霧が濃ゆくなり、不気味な再不斬の声が、そこらじゅうから聞こえ出す。
ナルト達は不安から、冷や汗を流す。
しかし、1人だけ汗も、不安もなく、目を細め気配を探す者が居た。
カカシ先生は優しく、柔らかい笑みに一同は焦りを取り戻す。
しかし、それを嘲笑うかのように再不斬の不敵な笑みは続く。
再不斬は真ん中に現われ、月夜は、反射的に地面を体を付ける。
振り上げられた刀を、足で、真剣白刃取りのように挟み込む。
その隙に、ナルト達は後ろに引き下がり、カカシ先生が、再不斬の後ろに回りこみクナイを突き立てていた。
足で挟んでいた大刀が水に変わり、月夜は咄嗟に両手を地面に着け、後ろに避ける。
それに気づいたカカシだが、気づいた時には遅かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!