な、な、なんでさかたんが・・・・・・
てか、怒って・・・・・・?
私が言い淀んでいると、一つ溜め息をついて、
すぐにさかたんは私を背後に隠して
鈴木君と向き合った。
「ハハハ・・・」
と引き攣る顔で誤魔化すも、
前方で放たれる不機嫌オーラが半端なくて
体がすくんでしまう。
さかたんのあまりの気迫と、
捲し立てるようなセリフによって
鈴木君は押され気味に。
これ以上、さかたんが不機嫌になったら
とても、とても、とーーーーっても
大変かつ迷惑だから、
早く鈴木君と距離を空けなきゃ・・・
夜21時なのと、会社前ということを忘れて
ハイテンションを装った。
これをきっかけに、
場が和めばいいんだけどーー!?
チラリ・・・とさかたんを盗み見るとーーー
と、慌てて私の腕を掴んできた。
なんか、予想してた反応と違うけど、
気が逸れたなら良かった。
はぁぁぁぁぁ・・・
良かった・・・・・・なんとか治まった・・・・・・
鈴木君には明日フォロー入れておこう。
・・・きっと何か言ったんだろうけど、
聞き返したら恐ろしい返事が返ってきそうだから
大人しく黙っておこう。
ぐうの音も出ない・・・・・・
そう言うと、
さっきの不機嫌オーラが嘘かのように、
いつも通りの明るいさかたんに戻る。
ガリッ・・・!!
な、な・・・・・・・・・・・・っ
く、首噛まれたーーー!?
「よーしよーし!」
と満足そうに付いた歯型をなぞって
笑っていた。
これが、さかたんとの恐怖体験でした。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!