〜うらたぬきside〜
こんなに近くにいて。
こんなに愛してるのに。
好きな奴に異性として見られていない。
その事実にムカついて、すげー焦って。
他の三人は、俺よりも、
分かりやすく態度に出したり、
優しくしたり、甘やかしたり、
「好き」って気持ちを伝えてる。
だからいつか、俺がまごまごしてる内に、
俺以外の誰かが、アイツを手に入れる・・・。
そんな最悪の結末を想像して恐ろしくなった。
変な汗を感じながら、
俺はコイツの手を強引に引っ張って、
とある目的地に早足で向かう。
ーーーそう。
俺が連れてきたのは、
コイツの家から数十歩で着く俺の家。
俺が怖いのか、ふるふる震えながら頷くあなた。
本当は優しくしてぇのに。
そう言い訳するけど、こんな顔見たらーーー。
コイツの怯えた顔見て可愛いとか思う俺って、
坂田並みにヤバいかもしれない。
アイツは真性だけど。
相変わらずふるふる震えてるけど、
何とか強気でいるのがあなたらしくて、
すっげーいじらしいなぁ。
ドサッ・・・・・・。
狼狽えるコイツをベッドに押し倒して、
両手をコイツの頭上で拘束する。
こーやって見たら、
コイツの体って小さいな・・・・・・。
あまり背丈は変わらないのに、
俺よりも一回り以上に小さくて細い。
優しくしねぇと、折れそ・・・・・・・・・。
俺の気持ち、伝えてやろうーーー。
〜あなたside〜
何となくだけど、うらたんの気持ちには気付いてた。
他の三人ほどあからさまに
好き好きアピールをしてこなかったから、
うらたんとは幼馴染みのままで居られるのかな
って幻想抱いてたけど。
あのツンデレで、ママみたいで、
お兄ちゃんみたいなうらたんが、
私の事を・・・・・・。
そう思うと顔が熱く感じた。
ひ、酷い事って・・・・・・。
そう言って起こしてくれたうらたんは、
もう前みたいな明るくて男らしいうらたんに
戻っていた。
そう安心した瞬間・・・・・・。
ぐぅぅぅ・・・・・・。
男の人にお腹の音聞かれるとか
恥ずかしすぎて死ねる!!!!!!
何作ろうかなー・・・、ぶっちゃけうらたんの方が、
料理が上手い気がするからな・・・・・・。
まぁ、一緒に作るから問題ないか!!
色々とビックリしたけど、
とりあえずは打破した(?)から、
今からはご飯の事だけ考えよう。
こーゆー強引さが彼の売りの様です。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!