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2021/10/06

第12話

成果出ました、これが恋!
頭に響くような鼓動の音。
どくどく速いその音と、微かに伝わる震えに、思わず何も言えなくなる。
清香
清香
零!
清香先輩の声、それに続いて先生たちの声も聞こえてきた。
零
助かった
清香
清香
怪我は?
零
俺は平気だ
ストーカーが零先輩から先生に引き渡される。まだ何か叫んでいるけれど、私の耳には入ってこなかった。
日和
日和
ごめんね
日和先輩の声が聞こえた瞬間、温もりがなくなって速かった音も聞こえなくなった。
寂しくなって目で追うと、日和先輩はストーカーの傍に行くところだった。
清香
清香
花梨、大丈夫?
花梨
花梨
え、あ、はい……
日和先輩が守ってくれて……
清香
清香
……そう
腰が抜けて立てない私に駆け寄ってきてくれた清香先輩は、どこか意味深に笑っていた。
日和
日和
こんなになるまでキミを苦しめちゃってたんだよね。ごめん
ストーカーはそれでも何かを叫んでる。
日和先輩は、何度も謝っていた。

ストーカーが連れていかれた後、零先輩は呆れたように声を出した。
零
日和。そういうところだぞ
日和
日和
何が?
零
ストーカーされたにもかかわらず
そうやって優しく声を掛けるところだ
清香
清香
あれじゃあ、舞い上がって自分のものって思いこんじゃっても仕方ないわ
日和
日和
あはは……そうだよね
零
俺たちは一旦学校に戻る。
お前は……
日和
日和
うん、大丈夫。後で行くね
清香
清香
花梨、また後でね
花梨
花梨
え? あ、はい……?
零先輩たちが学校に戻っていくのを見届けてたら、目の前に日和先輩が来てくれた。
日和
日和
大丈夫? 立てる?
花梨
花梨
あ! はい! ……あれ?
日和
日和
……
花梨
花梨
……あの、ダメでした……
日和
日和
ふふ、手、貸して
日和先輩が差し出してくれた手を取ると、優しく、でも強く引っ張り上げてくれた。
花梨
花梨
あ、ありがとうございます
日和
日和
うん、こちらこそ。……怖かったでしょ
花梨
花梨
ちょっとびっくりしましたけど、
……でも、飛び出したのは私なので!
日和
日和
……ごめんね、巻き込んじゃった
花梨
花梨
そんなこと!
日和先輩が無事でよかったです!
日和
日和
あはは、花梨ちゃんは本当に優しいね
少しだけ沈んだような日和先輩の笑顔。
責任、感じさせちゃったのかな……?
花梨
花梨
あの、すみません。ついてきちゃって、飛び出しちゃって。
でも……でも
花梨
花梨
でも、どうしても寂しかったんです
日和先輩に会えないことが、
日和先輩が部活にこないことが、
日和先輩に笑ってもらえないことが、寂しかった。
花梨
花梨
だから、……私が勝手にやったことです……。
あんまり、……気に病まないでください……
日和
日和
花梨ちゃん……
小さな声に、思わず泣きそうになる。
違う、そんな顔をさせたかったわけじゃなかったのに……。
花梨
花梨
あの……
日和
日和
ありがとう
ふんわり笑った日和先輩は、いつもよりずっと優しい顔をしていた。
その顔に、胸がどきんって、……
花梨
花梨
え……
今まで感じたことのない鼓動。
速くって、苦しくって、……顔が熱い。
花梨
花梨
え、……え? え?
顔をペタペタ触れば、熱を持ってることが分かる。
さっきまでは普通だったのに、汗まででてきて……

知ってる、この感情、聞いたことある。
花梨
花梨
ええ……?
これは、私がずっと、学んできたもの。
日和
日和
花梨ちゃん?
あ、名前……。
そうだ、いつか見た映画のヒロインが、名前を呼ばれるだけで嬉しくなるって……。
花梨
花梨
あ……
うれしい。私、今名前を呼ばれただけで飛び跳ねそうなくらい嬉しくなった。
花梨
花梨
わくわく……
日和
日和
え?
花梨
花梨
日和先輩!
私、今、すっごいわくわくしました!
日和
日和
……え? 遠足前の気分?
花梨
花梨
違います!
私は急いでカバンの中を漁った。
手帳に挟んであった二つの長方形の紙。

これを渡された日、なんで日和先輩が怒ってしまったのか分かった。
花梨
花梨
私、今恋をしてます!
恋のわくわくを感じてます!
日和
日和
え……?
驚いたような日和先輩に、映画のチケットを差し出す。
私、今きっと顔真っ赤なんだろうな。
花梨
花梨
遊園地デート、すっごく楽しかったです!
ずっとずっと、伝えたかったんです!
花梨
花梨
観覧車でおでこにちゅーされてから、ずっと、
日和先輩の顔が忘れられなかった
あれは部活の実技だってわかってる。
日和先輩が誰にでも優しいのだってわかってる。
でも、零先輩の言いつけを守ろうと頑張ってる日和先輩のことも知ってる。
花梨
花梨
もう一回、わ、私とデートしてくれませんか!
あの時言ってくれた日和先輩のセリフを真似る。
うぅ……心臓が痛い……!
日和
日和
……それは、実技として?
花梨
花梨
いえ! 本番で!
……本番で、お願いします
日和
日和
……ふふっ
日和先輩が近づいてきて、ゆっくり抱きしめてくれる。
耳元に届いた心音は、さっきの比じゃないくらいドキドキしてた。
日和
日和
前よりも楽しいデートにするって、約束するよ
少しだけ離れて日和先輩の顔を見れば、私と同じじゃないかってくらい赤かった。
花梨
花梨
二人で、一緒に楽しいデートにしましょう!
ゆっくり近づいてきた日和先輩の顔。
 

ファーストキスはレモンの味ではないってことを、今日学びました。

end