無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

320
2021/09/29

第11話

掴むは証拠! 唸れ成果!
今日も日和先輩は部活にこなかった。
事情が事情だし、……まぁ、無理もないよね。
でも、……やっぱり少し寂しい。
零
花梨、帰る準備はできたか?
花梨
花梨
はい!
あの日から、零先輩は本当に毎日家まで送ってくれる。
これはむしろ、零先輩のファンに刺されるのでは……?
花梨
花梨
日和先輩、大丈夫ですかね……
零
今のところ、部活に行くなという接触以外はされてないそうだが……
花梨
花梨
安心……とはいいつつ、証拠もあまり手に入らなそうですね……
日和先輩を見かけることもほとんどなく、零先輩からの話でしか現状は分からない。
零先輩は、ほとんど毎日日和先輩と連絡を取り合ってるみたい。
先生
二階堂、ちょっといいか?
一緒に昇降口に向かっていると、先生から呼び止められる。
零先輩は困ったような顔で、私と先生を交互に見た。
花梨
花梨
私、校門で待ってます!
零
あぁ……いや、昇降口で待っていてくれ。
すぐに行く
花梨
花梨
わかりました!
零
くれぐれも、一人で行動するなよ?
花梨
花梨
はい!
親の様に念を押してくる零先輩に、元気よく手をあげて答える。
先生と共に職員室に向かった零先輩の背中を見送って、昇降口で待機。
花梨
花梨
こうやって昇降口で待ち合わせって、なんか青春っぽい……!
彼氏はほかのクラスなのかな?
それとも、零先輩みたいに年上だったり??
うわー! これぞまさに恋愛って感じ!
花梨
花梨
あ!
一人で盛り上がっていると、背の高いイケメンが歩いているのを見つける。
あの姿は日和先輩だ!
花梨
花梨
……よかった、元気そう……
やつれている様子もないし、怪我をしている様子もない。
ストーカーだってきいてたからちょっと心配してたけど、よかった。
花梨
花梨
ん……? あれ? あれれ?
久しぶりの日和先輩。
その後ろから一定の距離をとって歩く女の人。
花梨
花梨
あれが……ストーカー……?
今ここで追いかけて、あの人がストーカーをしてるって証拠を手に入れたら、警察にでも先生にでも届け出れるかな。
でも、零先輩に一人で動かないようにって……
花梨
花梨
ごめんなさい、零先輩……!
危険だって分かってはいる。
だけど、これ以上日和先輩が部活にこないのは寂しすぎる。


姿勢良く歩く日和先輩。
その後ろを一定の距離を空けて歩く女の人。
の後ろをつける私。
ストーカーのストーカーみたいだけど……違う、これは、証拠をつかむための行動なんです!
花梨
花梨
……日和先輩、一人で歩いてるときもオーラ違うなぁ……
一人で歩いてるときは気を抜いちゃうのが大半なのに、日和先輩は背筋がしゃんとしてる。
歩いてる姿も、本当に絵になる。

まっすぐ歩いていた日和先輩が、少しだけ立ち止まる。
その前には、塀に手を付きながら足を引き摺っている女子生徒。
日和
日和
ねぇキミ、大丈夫?
日和先輩は迷いなく駆け寄っていった。
久しぶりに聞いた日和先輩の声。
日和
日和
靴擦れ? 足、見せてみて
女子生徒
あ、え、でも……
日和
日和
いいから。ここ、足のせて?
女の子はしゃがんだ日和先輩の膝に足をのせて、真っ赤な顔でおろおろしてる。
日和
日和
うわ、痛そう……よく我慢したね。
辛かったでしょ
女子生徒
あ、いえ……
日和
日和
強い子なんだね。今絆創膏貼るから
カバンから絆創膏を取り出した日和先輩。絆創膏持ってるなんてすごい……。
わ、私も見習わなきゃ……!
絆創膏を貼り終わって、女の子がお辞儀をしながら去っていく。
花梨
花梨
あ、え……!?
ふと動いた、ストーカーの影。
その手にもっていたのは……
花梨
花梨
は、ハサミ……!?
目の前の状況がよろしくなかったんだ……!
まって、危ない!
花梨
花梨
ま、まってー!
私は隠れるのも忘れて前に飛び出す。
ストーカーと日和先輩たちの前に、腕を広げて立ち塞がった。
日和
日和
花梨ちゃん……!?
花梨
花梨
お、落ち着いてください! それは! あぶない!
日和先輩に呼ばれても振り向けない。
目を、離しちゃいけない気がする……!
ストーカー
どいて! 日和は私のものなの……!
ほかの女に触れるとか許せない……!
花梨
花梨
えっと、えっと……! わかります!
その気持ちすっごいわかります!
好きな人が自分以外を見てるのは、辛いし苦しいことだって知ってる。
恋愛映画でも、何度も見てきた。
花梨
花梨
で、でも、今は嫉妬で考えが良くない方向に行っちゃってるんです!
嫉妬はネガティブな考えになっちゃうって言ってた。
そんな時は、大胆な行動はしない方がいいって。
ストーカー
うるさい! 日和がいけないの!
私以外の女を見る日和がいけないの!
花梨
花梨
恋愛ってお互いの気持ちを尊重するべきだと思うんです!
えぇと……なんだっけ……!
思い出すんだ花梨!
長続きする恋……長く続く恋って言われてるのは……!
花梨
花梨
友愛的な恋愛! そうです!
友愛的な恋愛みたいに、互いを深く知らなくちゃ
恋も長く続かないと思うんです……!
ストーカー
私は日和のすべてを知ってるわ。日和が好きなもの全部知ってる。
この髪型だって、日和が好きな髪型なのよ!
そう言って、一つに結んだ髪を揺らした。
花梨
花梨
……それは、あなたが好きなものですか?
ストーカー
は?
花梨
花梨
その髪型は、本当に好きな髪型?
あなたが好きな髪型って、ほかにあるんじゃないですか?
一つに結った髪型は、きつく縛られ過ぎてるのか目が吊り上がってる。
慣れてない髪型だって、すぐわかった。
花梨
花梨
他人に合わせるだけじゃダメです。
自分が好きな自分でないと。
じゃないと……
花梨
花梨
どんな恋だってうまくいかない
零先輩が教えてくれたこと。
恋は、相手に合わせるだけじゃダメなんだって。
ストーカー
うるさい……うるさい!
ハサミを持ったストーカーがこちらに走ってくる。
よ、避けられない……!
日和
日和
花梨ちゃん!!
名前を呼ばれて、ぎゅっと抱きしめられる。
久しぶりの体温と匂いに包まれながら、衝撃に備えて目を閉じた。


だけど、恐れた衝撃は全く来なかった。
零
全く……一人で行動するなとあれだけ言ったのに……
その声に目を開ければ、零先輩がハサミを持つストーカーの腕を掴んでいるところだった。
腕を掴まれて力が抜けたのか、からん、とその手からハサミが落ちる。
花梨
花梨
……よ、よかった……
びっくりしたぁ……。ちょっと、考えなしに飛び込みすぎたかも……。

息を吐き出せば、私を包んでいた体温がぎゅっと強くなる。
花梨
花梨
日和先ぱ……
日和
日和
あまり危ないことしないで……
耳元で聞こえた日和先輩の声は、か細く震えていた。
頭を包みこむように抱きしめられ、日和先輩の胸元に頭を押し付けられる。


聞こえてきた心音は、すごく速かった。