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2021/08/18

第5話

デートとはいったい何ですか?
本日の部活内容は『デートとお出かけの違い』について。
前回、少しだけはしゃぎすぎて疲れさせてしまった日和先輩だったけど、今日はすっかりいつも通りだった。
零
ではデートとは何なのか。はい、花梨
花梨
花梨
はい! 甘酸っぱいお出かけです!
清香
清香
五十点
花梨
花梨
えっ!? あっ、でも赤点ではないですね!
日和
日和
うーん、その前向きさ花梨ちゃんらしくて良いね
零
デートの定義についても明確な答えはない。
だが、ここでは『互いがデートだと思っていればデート』だとしている
花梨
花梨
なるほど……お互いの気持ちが大事ってことですね
清香
清香
そうね。
後はスキンシップがあればデート、なんていう説もあるけど……
零
うちには例外がいるからな
そう言って零先輩と清香先輩が日和先輩を見た。
 二人の視線を受けた日和先輩は、あはは、と何とも緩く笑った。
零
とにかく、デートについてのディスカッションをしたいところだが……
零先輩がじっとこちらを見てくる。
えっ、なになに!? 私なんか変なことした!?
零
おそらく十割の確率でついてこれないやつがいるからな。
今回も前回同様、実技にしたいと思う
花梨
花梨
えっ!? デートするんですか!?
やったー! 何処に行くんですか!?
清香
清香
花梨、遊びに行くわけじゃないのよ?
花梨
花梨
わかってます!
……わかってますよ!?
思わず席を立ってしまった私に、清香先輩が笑顔を向けてくる。
ちょっとだけ怖いのは……気のせいにしておこう。
零
今回は、日和と花梨二人だけで遊園地に行ってもらう
大人しく座った私に、零先輩がそう答えた。
日和先輩と……二人だけ!?
日和
日和
二人っきりだって。
ちょっとドキドキしちゃうね?
花梨
花梨
うぇ!?
いきなり顔を近づけてきた日和先輩に少しだけ身を引いてしまう。
だって、二人っきりって……
花梨
花梨
わ、私またはしゃぎまくっちゃうかもですよ!?
前回の実技を零先輩はしっかり覚えているはず。
あんな疲れた日和先輩、初めて見たよ!?
零
自覚があるなら大丈夫だ。
日和の変な癖も、花梨なら問題はないしな
日和
日和
変な癖って、ひどいなぁ零は
清香
清香
花梨、デート服は持ってる?
花梨
花梨
え? デート服……?
清香
清香
そう。デート服
デート服って、……デートに着ていく服のことだよね……?
ふ、普通の服じゃダメなの……?
清香
清香
……その顔は持ってないわね
零
日和もどうせ持ってないだろ
日和
日和
え? 持ってるよ?
零
いつも通りの服はナシだ。
今回はちゃんとしたデートなんだからな
日和
日和
失礼な。いつもちゃんとしてるよ
清香
清香
はいはい。
じゃあ、花梨は零プロデュースでいいかしら?
場を静めるように手を叩いた清香先輩に、零先輩が頷いた。
零
俺がしっかりデート服というものを伝授してやろう
清香
清香
日和は私よ。しっかりコーディネートしてあげるから
そう言って笑った二人の先輩は、どことなくやる気に満ち溢れていてほんの少しだけ怖かった。




そして連れてこられた大きなデパート。
レディースコーナーを歩く零先輩の後ろ姿はまさにモデルさん。
すれ違う人々が必ず振り返る零先輩は、何も気にすることなく進んでいく。

零
何してるんだ?
そんな零先輩の隣を歩けるわけもなく、私は三歩後ろをきっちり守っていた。
花梨
花梨
ま、眩しすぎて……
一般市民にスポットライトはきつ過ぎです……
零
は?
零先輩はどこからどう見てもイケメン。さすが顔面偏差値東大超え……。
ここに日和先輩がいなくてよかった……。
零
バカなこと言ってないで早くやるぞ
花梨
花梨
バカって言った……はい
零先輩に連れられやってきたのは、私でも知ってる有名なブランド。
可愛いけどお手頃で、高校生が着ても背伸び感なくていいんだよね!
零
まず、デート服と言っても男ウケを全面に出したものはアウトだ
花梨
花梨
へっ? そうなんですか?
デート服というからには、男の人が好きそうなものだと思っていたのに。
零
一番に考えるべきは、『自分が好きになれる服かどうか』だ
花梨
花梨
自分……?
零
どんなに相手好みになれたとしても、その自分を好きになれなかったら意味がない。
一時うまくいっても、すぐに疲れて恋自体が嫌になってしまう
花梨
花梨
なるほど……
零
その次に、相手の隣に立っている自分を想像するんだ。
一番自分と一緒にいるのは自分だからな。
自分の好みを優先した方がいい
零先輩の言葉に、思わず拍手を送りそうになった。
そうだよね、自分がダメになっちゃったら意味がないもんね!
花梨
花梨
今回は私がなりたい私ってことですよね!
零
そうだ
花梨
花梨
うーーん……?
服についてあまり考えたことがなかった。
着れればなんだってよかったし、なんならお母さんから譲り受けた服も多い。
花梨
花梨
自分が好きで、……日和先輩の隣に立つ自分……が、着てそうな……?
零
ふっ、すごい顔になってるぞ
零先輩の漏れ出た笑い声に、思わず二度見した。
イケメンが笑うと空気が華やぐ。すごい。デパートが一気に王族貴族の城になった。
零
そうやって悩むのも恋愛において大事な感情だ。
しっかり相手のことを考え続ける点においては、今の花梨は満点だな
そう言って笑う零先輩は、本当に優しい表情をしている。
こんなに恋愛マスターで、考え方もしっかりしてるイケメンって、女の子にとってはとても逃したくない人材なのでは……?
花梨
花梨
零先輩って、彼女いないんですか?
零先輩は驚いた顔をした後、少しだけ怖い顔になった。
零
いない
花梨
花梨
……そ、そうですか……
零先輩って恋愛マスターだし、すっごい紳士だし
一緒にいて楽しいからすぐできそうなの、に……
零先輩の少しだけ怖い雰囲気をどうにかしたくて言葉を探したけど、多分これ、悪化させるだけだよね……。
ど、どうしよう、なんか嫌な思いとかさせちゃったら……。
花梨
花梨
零先輩と一緒にいたらすごく成長できるけど、
彼女出来ちゃったらもうこうやって教えてもらえないのかな……なんて……
零
恋人はもう、作らない
怒ってるかと思っていた零先輩の声は、想像より怖くなかった。
それよりも、どこか寂しそうな声。
花梨
花梨
あ、そ、そうですよね!
零先輩が恋人作っちゃったら、周りも大変そうですもんね!
嫉妬で大変な目に遭ったり、彼女さんも彼女さんで大変そう。
イケメンで恋愛マスターな先輩と並べるようになるのだって、簡単なことじゃなさそう。
零
花梨は俺自身を見てくれてるんだな
花梨
花梨
え?
零
……君だったら、良かったのにな
零先輩がぽつりとつぶやく。


笑ってるのに、微笑んでるのに、ぬぐえない切なさがあるのは一体どうしてだろう……。