それからというものの 特に変わったこともなく
普通の日々が過ぎていった 。
霊障は全てこの人が起こしたものだと思えば
怖くないし。元から大雑把だったのも相まって
普通の家として暮らしている 。
普通の家 どころか話し相手まで付いてくるし
家賃は格段に安いし 私にとっては優良物件だ。
初めは 幽霊と会話なんて と正直抵抗感強め
だったが 、今ではあの頃を彷彿とさせるほど
打ち解けた。
5年の空白はあっても 14年の腐れ縁は伊達じゃ
ない。
ある日 。ずっと喉に突っかかっていた問いを
彼に聞いてみた 。
言えなかった 。なんで死んだのって 。
不慮の死って何 って 。こっちを振り返った
ましろは笑っていた 。口元は 。吸い込まれる
ような真っ黒い瞳に気圧されて言葉が続かない。
瞬きの隙にけらけらといつも通りの笑顔へ
早変わりしていた 。
… いや 、もういいんだ 。過ぎたことだし 。
聞いたところで覚えてないかもしれないし、
そもそも知ったところで何になる 。
どうでもいいことを聞くところだった 。
____ ピンポーン
そんな気まずい空気を破るように 場違いな
チャイムが部屋に響いた 。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!