放送を聞いた瀬麗音が不安そうに顔を上げた。
いや、まず、悪いことできないでしょ。
だってこの学校に来たの今日が初めてだよ?
校長室か…
校長ってどんな人なのかな?
ワクワクしつつ、あたしと瀬麗菜は 校長室の前に向かった。
コンコンコン
瀬麗音がノックしてドアを開ける。
そして…校長室に入ったあたし達は、思わず目を疑った。
…校長席にあたし達とそれほど変わらない…いや、あたし達より下に見えるぐらい小さい女の子が座っていたんだから。
瀬麗音も同じことを考えていたのか、少し顔を引きつらせて言った。
…説得力がゼロだと感じるのはあたしだけじゃないよね?
ヒソヒソ話していたら、校長先生(注:自称です)が、怒鳴り声(といっても姿が子供だからあたし達には小さい子が喚いている様にしか見えない)をあげた。
あたしはそう叫んで、謎の少女に殴りかかる。
いたずらっ子は成敗しないとね!
…しかし
謎の少女(以下、自称校長と略す)が、涼しい顔で手を振った瞬間…
あたしの体に殴られた様な衝撃がはしったと思ったら、体が飛んでいた。
く…くっそぉ〜!
何このチビ!ム・カ・つ・く〜!
と、あたしが自称校長につっかかろうとしたその時、校長室のドアがノックされた。
入って来たのは、よく知る二人組だった。
頭をさすりながら立ち上がるあたしを見て、瀬麗音が聞く。
え?えぇーーー!?マジかっ!の、夢叶ちゃんがいうなら、間違いはないと思うけど…信じらんない!
自称校長…じゃない、校長先生は、椅子から立って抗議した。
…おい、校長。その特には何?特にって?
ナイスフォロー!夢叶!その通りだよ!
酷いよね!と、あたしは抗議しようと立ち上がった。
すると、近くにいた巍々に思いっきり頭がぶつかる。
ゴチンッ!と、すごい音が校長室に響いた。
さっき校長先生にぶっ飛ばされたばっかりなんですけど!?
目が泳いでるよ!わざとだってことバレバレだよ!顔赤いし!ばれて怒ってんでしょ!?
…それより、さっきから瀬麗音&夢叶は何をコソコソ話してるの?
あんただって出してたでしょーが!
ソファを指差す校長先生。
真っ先に座るあたし。
その他のみんなも、それぞれ思い思いの言葉を発して座る。
校長先生の話は、想像を絶するものだった…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!