うっわぁぁぁぁ…
なんだよこれ。
目の前の無駄に立派な壁は僕を煽るようにただそこに在る。
壁を回り込んでこの壁を作り出した張本人の顔を覗くと、さも「私凄いでしょう」と言うようなドヤ顔を浮かべてこちらを見ている。
宮廷魔法士
ファッハッハッハ!見ましたかサル皇女様!これが私の類稀なる天才的な力でございますぞ!
オーネ(オルガリネ)
あやっぱその口のわるさはなおらないんだね
宮廷魔法士
さぁ!皆のものよ、私を崇め奉り称えるがよい!フォホホハハハハ!
オーネ(オルガリネ)
とりあえずいったんだまれ?
オーネ(オルガリネ)
うるさすぎてこまくふっとぶ
宮廷魔法士
む…分かりました。素直に従ってあげましょう。
目には目を。悪口には悪口を。
人のことサル呼ばわりしてるんだもん。「だまれ」くらい言ったって問題ないよね?
それにしてもどういう仕組みなんだろう。
ていうかさ…
オーネ(オルガリネ)
ねぇちょっとききたいんだけど。
宮廷魔法士
ん?なんでしょう
オーネ(オルガリネ)
もしかしてまほうつかうときってまいかいあのやけに長ったらしくてさらに口に出すのも恥ずかしいようなセリフとなえないといけないの?
宮廷魔法士
なっ…「やけに長ったらしくて更に口に出すのも恥ずかしいようなセリフ」とはなんですか!「やけに長ったらしくて更に口に出すのも恥ずかしいようなセリフ」とは!
オーネ(オルガリネ)
あ〜もういちいちフルで言わないでいいから。
オーネ(オルガリネ)
だって恥ずかしいじゃない。そんなの日本で言ったら速攻友達無くすでしょ。
宮廷魔法士
「ニホン」…?
オーネ(オルガリネ)
アッ
やっべ
宮廷魔法士
…まぁいいでしょう。どうせサル過ぎて前世の記憶と記憶が混濁しているか何かでしょ。
大当たり〜
マジかよばれたどうする僕どうする
レーナ
前世だなんて…そんなものあるわけが無いでしょう。
宮廷魔法士
ムッそうだな。ファッハッハッハ!
あ〜なんだただの冗談か。
…あれ?
オーネ(オルガリネ)
レーナ、仮にも私とほぼ同じ地位のにんげんにそんなこと言っていいの?
レーナ
別に良いでしょう。父は私には甘々なので。
父…?
オーネ(オルガリネ)
え"っもしかしてこのナルシストレーナのお父さん…とか?
レーナ
大正解です。
オーネ(オルガリネ)
えってか「私には甘々」って自分で言うんだ…
レーナ
事実ですもの
オーネ(オルガリネ)
私はいまその事実よりももっとヤバイ「レーナの父は宮廷魔法士だった」って事実に驚愕してるよ
レーナ
まぁまぁ、それよりも魔法について教えてもらうのではないですか?
オーネ(オルガリネ)
あっそうだね。
オーネ(オルガリネ)
それでさっきの質問なんだけど。「無詠唱」で魔法は使えないの?
宮廷魔法士
そんな事ができたのは初めに魔法を作り出した「レイガル・サガム・カラルシム」だけですよ。
うっわまた新しい名前出てきた
勘弁してよ覚えんの大変なんだから
オーネ(オルガリネ)
ふーん…なんで?
宮廷魔法士
いいですか、そもそも魔法というのは、己の内にある魔力を詠唱と共に天に捧ぐことで起こるいわば「神の力」なのです。
宮廷魔法士
我々は神への忠誠心と扱う魔法の大きさに見合う魔力を神へ渡し、それの対価として魔法が扱えるのです。
宮廷魔法士
その忠誠の証こそがあの詠唱。初代魔法士は神に愛されし子だったため出来た「無詠唱」ですが、あくまで我々は神の下僕に過ぎません。
宮廷魔法士
下僕が勝手に神の力を扱うなど言語道断。だからこそ我々は「詠唱」で神に許しを貰うのです。
オーネ(オルガリネ)
へぇ…なんかいちいち神様に許しを貰わなくちゃいけないなて面倒くさいね。
宮廷魔法士
面倒くさいとは…!…っ貴女はつくづく失礼なサルですね。よもや魔法が使えるだけでもかなりのお慈悲を頂いているというのに…
宮廷魔法士
もういいです。我慢の限界です。皇帝陛下に命じられておりますからお教えはしますが今日はこれで終わりです。
フンッと不貞腐れたように息を吐いて宮廷魔法士は皇女宮に戻ってしまった。
オーネ(オルガリネ)
…あとで謝りに行こうかな。
レーナ
えぇ、そうされたほうがよろしいかと。
このあと菓子折りを持って謝りに行ったら数時間も説教されたのはまた別の話である。
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第30話 この国にも法律はありました
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