オーネ(オルガリネ)
…と言うわけで、事の事情は話した通りだよ。
レーナ
夢の中の三神…ですか。
赤ずきん
な〜んでそんな厄介なもんに好かれちまうかな
オーネ(オルガリネ)
や、それは三神様に言ってくれないと。それに私はさっきも言ったけど殺されかけてるからね?てか殺されたからね?それのどこが好かれてるっていうのさ。
赤ずきん
い〜やそれは完全好かれてんだろ。憎いやつなら普通祟ってお前は今頃この世にいられなくなってたぞ。
オーネ(オルガリネ)
え〜…じゃ〜なんで殺されかけたの。
赤ずきん
これはもしもの話だが。元来三神は本来人間界には干渉できない存在。精々死者になら少しくらい干渉できる。すこし、だとしても、神の手によって殺してしまえば、攫うのも容易だ。だから、夢の中で殺してしまおうと考えたんだろうよ。
赤ずきん
そしてそいつら、お前が声をかけた時点で襲ってきたんだろ?恐らくそいつらは6歳の式典のときにお前を狙い始め、しばらく夢に出てみたもののお前が『ここにいる』と存在を主張しなければ姿さえ視認できない。だから手を振って、こちらに声をかけるよう仕向けたんだ。
オーネ(オルガリネ)
ん〜なんだか小難しい…
赤ずきん
要は、お前は三神共に声かけたから殺されたってことだ。
レーナ
…あの、だとしたら、どうして皇女様は今死んでいないのですか?奴等の狙いが皇女様を殺すことなら、夢の中で殺された時点で皇女様は死んでいるでしょう?それに、なぜ皇女様が狙われているのか…
赤ずきん
…あのさ、オーネ。お前、レーナに転生のこと話していいか?話にはどうもそれが関わってくる。
オーネ(オルガリネ)
え、ああ、別に構わないよ。レーナは信用が置ける。
レーナ
え、あの、なんの話、ですか?
赤ずきん
レーナ。まず謝るが、今回のことに巻き込んで、済まない。今から俺が言うことをお前が知れば、お前も少なからず危険な目に合う可能性がある。どうか聞きたくなければ、早々にここから立ち去って欲しい。
レーナ
…いえ、大丈夫です。元より、皇女様が生まれる前から、皇女様を、皇女様の魂を守ると決めております。少しの危険くらい、どうとでもなりましょう。
赤ずきん
そうか。なら、いい。…レーナ、落ち着いて聞いてくれ。俺は。そして、俺の横にいるオーネは、二人とも別世界からこの世界に転生してきた、転生者、だ。
レーナ
なるほど。だから皇女様は突飛で知識が豊富だったのですね。合点が行きました。
オーネ(オルガリネ)
…思ったより、驚か、ないね?
レーナ
いえ、なんだか薄々お二人とも普通ではないことは分かっていましたので。これでも私、人の魂の気配には敏感なんです。
赤ずきん
…なぁさっきから魂やらなんやら言ってるが、レーナ、あんた、もしかして。
レーナ
あら、気づいちゃいました?…まぁ、ここのお二方なら言っても大丈夫でしょう。
オーネ(オルガリネ)
え、なになに?レーナもまさか転生者?
レーナ
いいえ、違います。ですが、私は。そうですね。俗に言う、『エルフ』と呼ばれる存在です。
オーネ(オルガリネ)
え、えええ!!???
オーネ(オルガリネ)
え、うそ、なんで?マジで?エルフ?レーナが???あまって頭がショートした
赤ずきん
やっぱりな。その『太陽の光を閉じ込めたような金髪に、森の奥深く、新緑の瞳。』伝記に書いてある通りだ。人間には存在しない髪と瞳の色。
オーネ(オルガリネ)
え、でも、耳尖ってないじゃん。エルフって、耳尖ってんじゃないの?
レーナ
あぁ、エルフはエルフでも、私は人間とエルフのハーフですから。少し人間よりなところもあるのです。
赤ずきん
ハーフだって!?実在したのか…人外と人間のハーフ。
オーネ(オルガリネ)
獣人と人間のハーフは見たことあったけど、エルフと人間のハーフは初めて見た。レーナが、そうなんだ。
赤ずきん
は?獣人と人間のハーフもいるのか!?
オーネ(オルガリネ)
え、うん。そうだよ。私の治めてる領地にいるの。
赤ずきん
嘘だろ…伝説級だぞ…、
オーネ(オルガリネ)
…というか、ハーフってことは、お父さんが人間だから、お母さんがエルフ、なんだよね。
レーナ
ええ。そうですよ?もともと、お父さんは人外に対する差別心がそこまで無い人なんです。
オーネ(オルガリネ)
いい、お父さんだね。
赤ずきん
…さて、話しがそれてるぞ!戻そう。
赤ずきん
それで、俺とオーネは転生者なんだが、その時、オーネはある神様にあった。そうだな?
オーネ(オルガリネ)
…うん、そう。転生神、とか言ってた。
赤ずきん
おまえ、多分三神共と喋る前、転生神様と話したろ。
レーナ
あ、もしかして、あのときの皇女様の独り言ですか?
オーネ(オルガリネ)
覚えてんの…???え、まあ、たしかに、話した。
赤ずきん
なら、恐らくだがお前が殺されなかったのは転生神様のおかげだ。あのお方、三神のことに気づいていたらしい。加護を飛ばしたんだろうよ。
レーナ
神のご加護…!滅多に貰えないものですよ。それは。
赤ずきん
それ程、オーネが神に気に入られやすいってことだ。
オーネ(オルガリネ)
ホントなんなの…神に好かれるとかいらないんだけど。そのせいでこんな目にあってんじゃん!!
赤ずきん
まぁ、落ち着け。とりあえず、これから立てるのはその対策だ。ところでお前、今三神共はどこまで近付いてる?
オーネ(オルガリネ)
え、もう目の前。たぶん今晩で触れられる。
赤ずきん
はぁ!!???それを早く言えよ、バカ!!!やべぇじゃねぇか!
レーナ
あの、重ね重ね質問は申し訳ないのですが、その転生神さまに三神さまを退けてもらうことは不可能なのですか?
オーネ(オルガリネ)
あ、それ私も思ってた。
赤ずきん
無理だ。先程神が人間界には干渉できないと言ったように、転生神様と三神も管轄が違う。管轄が違うところには干渉できない。それが、神のルールだ。
むしろ、ここまで加護が持ってることが凄いよ。流石に18歳を切り目に少し効力が弱くなって神々に干渉され始めてるみたいだが。
もし転生神様と三神共の管轄が同じなら、死ぬまで効力は持ってただろうに。
オーネ(オルガリネ)
チッめんどくさ…
レーナ
それでは、今晩を向かえれば確実に死ぬ、と。
赤ずきん
あぁ、そうだ。それにしても、お前が不眠症になってなくて良かったよ。もし寝てないなんてことがあったら、深層心理で侵食されてたはずだ。むしろ深層心理がむき出しになる夢の中だからこそ、こう対応できている訳だな。
オーネ(オルガリネ)
…というか、赤ずきんさぁ。なんてそんなに神のこと知ってるわけ?あんたただ私と同じ、転生者でしょ?そんなに神のことを知ってるはずがない。
オーネ(オルガリネ)
…あんた一体…何者?
赤ずきんは、貼り付けたような笑顔を崩さずに、言った。
赤ずきん
俺か?俺は、ただの───────
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第104話 三神の討伐作戦を立てました(後編)
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