無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第76話

レメルンを見学しました
さて、街を整備すると言っても。まずは街を自分の目で見てみないことにはどうにもならないだろう。

建物は皆ボロボロで、壁が崩れたり罅が入ったり。少しつついたら崩れそうなほど限界な建物もちらほら散見する。

周りの子供は…獣人もエルフもいるが、流石に人魚はここにはいないようだ。

…ん?あれは…

端正な顔立ちに鮮やかな金髪緑眼の少女。別にこれだけなら何らおかしくない、普通のエルフだ。だが、その少女には耳がない。いや、厳密にいうと耳はある。だが、人間が持つ丸くてぷにぷにしたような耳ではなく、頭から生えたコヨーテのような耳だ。

本来この世界には、エルフ以外に金髪緑眼の者は産まれない。遺伝子的な関係だ、と昔何かの論文で読んだ。

レーナ…は何故金髪緑眼なのだろうか?染めてんのかな?どちらにしろ金髪緑眼はエルフしかいないのだから、彼女の髪か瞳のどちらかは偽物だろう。多分。

だからこそおかしいのだ。エルフの特徴と獣人の特徴を併せ持つ少女。エルフの特徴である尖った耳は、一応コヨーテだし満たされている。

そして改めて周りを見て、理由を知る。

…嗚呼、ここは僕が想像しているよりも遥かに酷いところのようだ。

大方この少女はエルフと獣人のハーフだろう。

昔、エルフと獣人のハーフを産まれさせて新たな労働力を得ようとしたが、遺伝子上なかなかハーフは孕まれず、妊娠したとてすべて死産。

この子はそんな、奇跡のような確率をこの年まで生き抜いてきたのか。

恐らくこの子の存在が上層部に知られれば、すぐさまこの子はこの街から引き離され、人体実験の被害者となりはてるだろう。

その子は僕らが物珍しいのか、やせ細った人差し指を口の端に引っ掛けてこちらをまじまじと見つめている。

僕が片手でしっしっと払うと、少女は耳と尻尾の毛を逆立たせて逃げていった。

…さて、ここにはこういう子供があと何人いるのか。

再建の計画も立てるために、僕の隣で護衛が熱心に地図を書いている。

幸い地図づくりに熱中しているおかげで先程の少女は見られていないようだ。

そのまま足をすすめると、今度は広めの湖畔が見えた。

湖はそこが見えないほど暗く濁っている。

ちゃぽん、ちゃぽん、と水の跳ねる音がする。それと同時に視界に映る魚の影は、きっと人魚だろう。

すでに何匹か水にぷかぷかと浮かんでいる。生きている人魚も、共食いでもしたのか。口を血に染めている。

…全く、見れば見るほど惨状に目を背けたくなる。

だが目を逸らしてはいけない。僕は押し付けられたとはいえこの街の領主なのだ。僕にはこの街を発展させる義務がある。

まだまだレメルンは広い。もっと見てみよう。