お披露目会も終わり、貴族の訪問も次第に減ってきた。
お披露目会直後は毎日のように皇女宮にお披露目会内で渡されなかったプレゼントが届いていた。
…さて、問題はそう、そのプレゼントだ。
このシャンドール帝国、どれだけの規模なのかはまだ分からないが、きっと前世の中国位には大きいのだろう。
今まで来た貴族の数を数えてみたが、百を超えたところで諦めた。
そして…そんな百を優に超えるような人数が一人に大量のプレゼントを渡すのだ。
もちろん、僕の目の前には未だ開封しきれていないプレゼント達の山が積まれている。
多分いま地震か何かが起きて全部僕の方に降ってきたら、僕は確実にたった1年の生を終えることだろう。
はぁ〜ぁ。
これ全部開封しきるのに一体何日かかるのだろう…
とりあえず、開封しないと始まらないよな。
え〜っと、この赤やピンクのリボンで飾られたいかにもなプレゼントボックス…
中には幼児用のパンプスが入っている。
子供にパンプスを履けと?履けないことはないだろうが僕はごめんだ。
次は…この黄色の細長い箱…
中は魔法使いが使いそうな木製の杖が入っている。
僕まだ魔法なんて使えないんですけど。煽ってるのか?
青色の犬小屋も入りそうな大きい箱…メイドに開けてもらおう。
中はでっかい城だ。だがかなり縮小化されている。
小さいから僕程度の幼児じゃないと入れないな。設備は整っているが…かさばるな…
次は紙でラッピングされた平凡な平たいもの…
中は…何だこれ?「子育て初心者のママ必見! 育児のコツ百選」…?
これを僕に見せてどうするんだ?普通は母親に見せるものだろう。僕に早く嫁に行って子供を産めとでも言うのか?
今度はビニール製の袋…
中はももちゃんより数倍もでかいクマのぬいぐるみだ。
これはいいな。ももちゃんのお母さんという設定で置いておこう。
…ふぅ…やっと五個だ。
これはいちいち突っ込んでちゃ終わらないパターンだな。
ちょっと突っ込まずにしばらく開け続けてみよう。
──一時間後──
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!
終 わ ら な い
やり始めてどれだけ経った!?もう軽く一時間は超えてるだろ!
こんな長い時間黙々と開け続けても一向に減らないじゃないかこのプレゼントの山共は!
しかも開けた分のプレゼントも横においてるから今は正に囲まれてんだよ!
なんだよもうプレゼントだけが増えていくじゃん!
あ~もう泣きたい!
ガチャっ
…お?誰か来たな。
パタパタパタパタ…
あっレーナさん行っちゃった…
お〜うなんか凄いメイドの休憩室から怒号が聞こえる…
なんだろう、ちょっとかわいそう。
それにしても…これからはメイドに任せられるとはいえ、これからも何か催しごとがあるたびにこんな事になんのかな…面倒くさ…
もういい!疲れたからねるもん。僕。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!