深い深い夢の中。
私、いや僕の中でもう完結していた謎は、今また繰り返した。
6歳くらいの頃。丁度式典が終わって少しした頃。
私は、ある夢に苛まれていた。
白い白い、如何なる汚れも寄せ付けぬほどの純白。素人でも神聖だと分かる空間。
そこにただ佇み、笑って手を振る三体の影。
私はなんの確証もなく、それでも神々しきそれらを、この国に、この世界に伝わる『三神』だと確信した。
私は、ある日、私の元に私をこの世界に転生させた者が、神が、私に気まぐれに話しかけに来た日、『三神』と対話を試みた。
結局その策は失敗し、私は血肉を切り裂かれ、夢の中で死んだ。
それからは反感を買ったのか、見ることが無くなった夢───
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どうもみなさん。最近悪夢がぶり返してぴえんです。僕です。
何なの?僕が何をしたっていうのさ。もうあの悪夢終わったじゃんか。ミステリーじゃないんだよ知らぬが仏って知ってる????
僕最近何もしてないよ?強いて言うならこの前18歳なったってだけだよ???なのに何なのこの仕打ち。ぴえん超えてぱおん。
夢の内容は六歳の頃見てたのと特に変わらない。あの時と同じように、ただ三神が不気味に笑って手を降っているだけ。
はっきり言ってぶり返したはじめの頃は怖かった。いや、だってほら終わり方あれだよ?完全ホラーじゃん。
とにかく僕は話しかけたら六歳の頃の二の舞いになる気がして、でも何もしなくてもあの時点で恨みか何か買ったせいで殺されるかもって思ったからただただgkbrして早く覚めろ、覚めろ!!って念じてたの。
いっそ痛いくらいにまぶたを固く閉ざしてたから神たちが何をしてたのかわかんなかったけど、それでも気づいたら自室で自分の荒い息が響いてた。
それから数日はずっとそれでやり過ごしてたんだけど、もう一週間くらいしたとき流石に苛ついてきてもうままよ!!ってな感じで思いっきりガン睨みしてやったの。
─目が、開いてた。
僕のじゃない。神たちの、目だ。
神たちはみんなシルエットで、それでも今まで見えないはずなのに、影になってるのに笑ってるのが分かって、それだけでもすごく怖くて不気味で逃げ出したい程なのに、目が、更に開いてたの。
なんだか嫌にリアルで、それでもなんだか現実味無くて、なんて言ったらいいんだろう。シルエットを撮した写真に適当な人間のリアルな瞳を雑にくっつけました、みたいな。
加工じゃないのに、どうしてもまるで加工みたいに違和感で、そこでさらに怖いことに気づいたの。
口は?口は開いてるのか、閉じてるのか。そもそも存在してるのか。
笑ってるのが分かるなら口が空いてるか閉じてるか、存在してるかくらい分かるはずなのに、なんか、見ようとしても、分からない。
分かるのに、分かるのに分からない。口の部分だけ何か認識阻害かけられたみたいに見えなくなって、見ようとしても頭の中に靄がかかって、見えたとしても理解ができない。理解して脳内に処理できない。
そこまで分かったとき怖くて、思わず声を上げそうになって、そこから目が覚めた。
それから悪夢は毎日続いて、毎日悪化していった。
あんなにも不鮮明だった鼻が、耳が、身体が、みんなだんだん、断片的に見えてきて。
それとともに、神たちもこちらに近づいてくる。
ある日、神の体がもう半分くらい分かってきた頃。
分かると言っても、口と同じように存在してるのは分かるのに、如何なっているのか。構造が理解できない。
僕は、もう前と比べてかなり近づいてきた神たちを見て、ふと気付いてしまった。
ああ、きっと、神の体が全部見えた頃、神は僕に完全に重なってしまう。
そうなれば、僕は、私は──
今日は夢を見始めてから2ヶ月目。神の体はもう殆ど全て見えて、もう手を伸ばせば届く位置に、息さえもかかる位置に神は近づいてきた。
僕の部屋には、レーナと赤ずきんが、神妙な顔つきで集まっている。
僕は、一拍、ため息をついて開けながら、口を開いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。