2月ももうすぐ終わり。
家の近くでは梅の花が咲いてるけど、やっぱりまだまだ寒い。
レッスンに行くとしげがいなかった。
体調が悪いんかなって、淳太君と話していると、
大声がして、神ちゃんが走って僕らの所に来た。
「どうしたん?」と聞く間もなく、神ちゃんが、
息を切らして涙目で言う神ちゃんの言葉が上手く呑み込めなくて、
でも一瞬でみんなで顔を見合わせた。
あたふたしてただ言葉だけが飛び交う。
神ちゃんに急かされて、リュック片手にレッスン場飛び出した。
駅に着くと望が泣いてて、それを必死に慰める流星がいた。
俺らもそう声をかけて、ちょうど止まってた電車に乗り込んだ。
すぐに降りれるようにドアの近くに6人が引っ付きあって、淳太君がそう神ちゃんに尋ねた。
涙目で話す神ちゃんに聞くと、神ちゃんは首を横に振った。
そんな神ちゃんの言葉の後、誰も何も言えなかった。
望はずっと泣いてたし、神ちゃんも相当辛そうだった。
ただ、しげが無事であってほしいと、願うばかりだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。