神ちゃんが体調を崩した次の日からまた撮影は再開されたけど、スタッフさんから僕らへの態度はとても冷たかった。
声をかけても無視されたり、挨拶してくれなかったり、
NGだしたら今まで以上に怒られたり、
だから、これ以上波風立てないように、必死にNGださないように、言動にも気を付けた。
でも、正直気を遣いすぎて空回りしている気がする。
連日の寒い中での撮影で、ちゃんと休憩は自分なりにとっているものの、やっぱり僕の体も応えている。
そんな声が響いて、ほっと胸をなでおろす。
流星が気まずそうに周りを見ながら僕に近づいてきた。
流星の視線の先を見ると、スタッフさんがこそこそと僕らを指さして何かを話してる。
僕の手にある、一人だけみんなとは違う手作りの弁当見て笑う人もいる。
ほっとしたかと思えばまた空気が張り詰めて、
こんな現場、初めてで、映画の仕事はうれしいけど、
正直、しんどい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。