空を見上げたままそう言った望は、微かに微笑んでいて、でも、微かに寂しげだった。
ー「あぁ」
ー「うん」
多少ずれたものの、みんなの声がそろって、ふっと吹き出した。
きっと、みんな気付いてたんだ。
言葉にしないだけ。
これから先、
もしかしたら7人ばらばらになるかもしれない。
そんな不安を、みんなが持ってたんだ。
隣の淳太君の手と、流星の手を、そっと握ると、そこから繋がるようにみんなが手を握った。
なんで、この7人だったんだろう。
理由なんて、分からなくて。
でも、
この7人じゃなきゃ意味がなくて。
始まりは、「名前なんて言うん?」って聞いただけ、
ただ、お互い仲良くなりたいなって、惹かれあっただけ。
でも、こんな仲間、初めて見つけたんだ。
性格もばらばらで、年齢も違ってて、
話す言葉だって、微妙に違うことだってあるけれど、
お互いが大好きで、
同じ夢を追いかけている。
ー7人がばらばらになるかもしれない
そんな不安は、みんなの笑顔を見れば消えていく。
僕らなら大丈夫。
これからもずっと、離さないように強く手を握ってよう。
誰1人として欠けないように。
満天の星空の下、僕が見たみんなの笑顔は、
あの1番輝いてる星より、
もっともっと、
優しくて強くて、
輝いてた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。