第72話

重岡side
1,107
2018/05/20 14:24
花火を終えた後、7人だけで星を眺めた。


桐山
うわ!蚊にかまれた!
小瀧
やっぱり照史君おいしいんや~
桐山
どういうことやねん!

そんな会話をしながら、笑いあって、7人一列に並んで。




しばらくみんなでワイワイはしゃいでたけど、いつの間にか静かになって、


「きれいやなぁ」なんて呟くような小さな声だけが響く。





中間
しげ、疲れてへん?
隣にいた淳太君が、僕の背中をさすった。
重岡
大丈夫、ありがとう
心配そうな顔に、笑って見せた。

淳太君の隣にいた濱ちゃんも、そう答える僕に、優しく微笑んだ。




その後、誰も何も言わなくなって、


風が木を揺らす音だけが響いた。






小瀧
なぁ・・・
望が言って、みんなが望の方を見る。




小瀧
・・・ずーっと・・・7人でおろな?




空を見上げたままそう言った望は、微かに微笑んでいて、でも、微かに寂しげだった。





ー「あぁ」

ー「うん」




多少ずれたものの、みんなの声がそろって、ふっと吹き出した。





きっと、みんな気付いてたんだ。




言葉にしないだけ。







これから先、


もしかしたら7人ばらばらになるかもしれない。




そんな不安を、みんなが持ってたんだ。






隣の淳太君の手と、流星の手を、そっと握ると、そこから繋がるようにみんなが手を握った。





なんで、この7人だったんだろう。


理由なんて、分からなくて。


でも、





この7人じゃなきゃ意味がなくて。






始まりは、「名前なんて言うん?」って聞いただけ、

ただ、お互い仲良くなりたいなって、惹かれあっただけ。





でも、こんな仲間、初めて見つけたんだ。




性格もばらばらで、年齢も違ってて、

話す言葉だって、微妙に違うことだってあるけれど、




お互いが大好きで、


同じ夢を追いかけている。






ー7人がばらばらになるかもしれない




そんな不安は、みんなの笑顔を見れば消えていく。




僕らなら大丈夫。


これからもずっと、離さないように強く手を握ってよう。



誰1人として欠けないように。






満天の星空の下、僕が見たみんなの笑顔は、




あの1番輝いてる星より、




もっともっと、


優しくて強くて、



輝いてた。

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