ユニット曲のメドレーも全部終わって、7WESTの出番になった。
4人が並んで曲が始まる。
でもおかしい。
足が震えてる。
マイクを握る手が、とんでもないほど汗をかいてる。
俺って、こんなに緊張したっけ・・・?
理由は分かってた。
さっきのメドレーの時に浮かんだ自分自身の考えのせい。
歌が始まって声を出すと、耳に帰ってきた自分の声が震えてた。
ーもしかしたら、7WESTじゃなくなるかもしれへん
隣で歌う3人を見た瞬間に、よぎる思い。
この4人でも盛り上がれるんやってところを見せないと。
足手まといにならないようにしないと。
さっきのユニットよりももっと、いいものにしないと。
そんな思いが僕を空回りさせる。
そんな時、ふいに背中を誰かに優しく叩かれた。
振り返ると、しげが笑ってた。
いつもと同じように。
しげは同じように流星と望の肩を叩いて、僕らを集めて肩を抱き合った。
隣のしげや、流星、望の伸ばしてくれた手は、強くて、
気付けば手の震えも止まって、ちゃんと笑えてた。
ー神ちゃん、大丈夫
そう、言われた気がした。
この先、どうなるか分からない。
でも、隣にいる仲間を信じよう。
いつまでも、ちゃんと手を繋いでよう。
離れないように、
強く。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!