第65話

流星side
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2018/05/20 14:04
今日の発作は軽かったらしく、応急処置の注射と飲み薬で大丈夫だって、お父さんが言ってた。

でも、注射をしてしまえば、副作用で1日中起きれなくなってしまうって。


朝ご飯の後、暗い雰囲気だった僕らを笑わせて仕事に向かったお父さんを見送って、後片付けを手伝った。



今日はしげにこの辺案内してもらう予定やったんやけど・・残念やな。


そう思いながら外を眺める。




濱田
無理・・させちゃったな・・・

しげが苦しい思いせんように、ちゃんと止めるべきやった
反省して1人呟く濱ちゃんの背中を、しげのお母さんがさすった。
お母さん
気にしやんでええよ、みんなのせいちゃうからね。

大毅もね、自分でちゃんと加減はしてるんやけど・・まだ限度が自分でも分かってなくてね。
お母さんはそう言って、考え込んでいた淳太君の肩も優しく叩いた。




流星
しげの所、いってもいいですか?
そう尋ねたら、お母さんは優しく微笑んだ。
お母さん
ありがとう、流星君、大毅も喜ぶわ




しげのお母さんと望と神ちゃんは、3人でスーパーに買い物に行って、

照史君と濱ちゃんと淳太君は、リビングで3人静かに話しながらもやっぱり考え込んでる様子。




僕はそっと、しげの眠ってる部屋に入って、しげの隣に寝転んだ。


しげは、朝のような苦しそうな顔じゃないけど、でも決していい寝顔とは言えなくて。




子供の頃から風邪さえもめったにひかず、病気とは無縁のような俺が、

一体しげの何を分かってあげられるんやろう。


痛みも、苦しさも、想像つかへんくて。




でも。



理解してあげたいって、心から思ってるんや。



やから、一人で苦手な病院に行って、しげの担当の先生に話聞いたりした。

しげの痛みがどれほどのものか、苦しさがどれほどのものか、知りたかったていうのもあるけど、


でも、それ以上に、支え方が少しでも見えてくるような気がした。


先生の話がすべてじゃなくて、

結局はしげにしか分からへんこともあって、

その日その日で変わってくるもので、



でも、ちょっとの変化にも気付いてあげられるかもしれないと思った。






苦しそうに眠るしげの隣で、ついこの間もらったばかりの台本を開いた。


しげの腕さすりながら音読。




子守唄になるかもしれへん、



そんなこと考えながら。

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