僕のせいや。
僕がしげにちゃんと話してれば神ちゃんをここまでしんどくさせなかった。
39度も熱があってしんどそうにソファに横になってる神ちゃんのそばにいるのが辛くて、部屋の隅で座ってた。
ふいにそんな声がしてびくっと顔を上げると、しげが僕の前にしゃがんでた。
正直に頷くと、
そう、いつもよりきつい口調で言われた。
しげの表情は真剣で、はじめてしげに怒られて、泣きそうになった。
そう、4人で撮影前にした大切な約束。
迷惑をかけないためにも、1人1人がちゃんと仕事をしっかりこなすためにも、約束は守らなきゃいけなかった。
無理はしないって、
しんどそうやったらすぐ伝えるって。
そんな声にはっと顔を上げると、しげが俯いて謝ってた。
そう言って唇を噛んでた。
そう言われて、我慢してた涙があふれた。
神ちゃんにも、しげにも何度も謝って、
そしたらしげも神ちゃんも同じように何度も謝った。
なんて流星につっこまれるまで謝り合ってた。
しげにきつく言われて悲しかった。
でも、幸せだと思った。
ちゃんと叱ってくれて、
仲間を大切に思ってくれていて、
僕にはこんなにも頼りになるお兄ちゃんがおるねんなって、
誇りに思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。