僕が泣いてしまったのを見て、照史君は動揺してる。
あたふたする照史君に、思いっきり抱き着いた。
ありがとう、照史君。
辛かったんだよ。
甘えてるとか、怠けてるとか、
僕のお弁当見て笑ったりとか、
腕の痣見てすごい顔されたりとか、
望や神ちゃん見て、
なんでこの仕事やってるんだよ
って、
二人を苦しめて、
二人が辛いの分かってるのに、何もしてあげられないことが、
悔しいんだよ。
そんな思いを、言葉にはできないけど泣きながら思った。
照史君の強い腕は、僕のそんな思い、全部抱えてくれる気がするから。
後ろからそんな声がする。
あたふたしながらも僕の背中をぎゅっと抱きしめたまま反論する照史君に、僕も笑ってしまった。
泣いてるのに、笑ってる。
僕が言うと照史君は「え!!」とショック受けてる。
いつの間にか、4人ともみんな笑顔になってた。
望が濱ちゃんの腕を引っ張ってる。
濱ちゃんの返事に望は大喜び。
周りの視線や、言われる言葉が怖かった。
でも、
照史君と濱ちゃんがきてくれて、胸を張れた。
僕にはこんなにも強い、お兄ちゃんがおる。
こんな僕らのことをいつも支えてくれて、
大好きだって言ってくれるお兄ちゃんがおる。
自信持って、頑張らなきゃ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!