第42話

濱田side
1,072
2018/05/09 16:08
プログラム前半の最後は綱引きやった。

俺は出ないからカメラ構えて座って応援。



ーせーのっ!せーのっ!


赤が優勢やけど白も負けてへん!

濱田
ええぞー!どっちも頑張れー!!
なんて応援してたら、




ードタッ



鈍い音が響いた。



音がした方見たら、必死に引っ張ってたしげが転んでしまってた。
小瀧
しげ!!大丈夫!?
しげの後ろにいた望が、心配そうにしゃがむ。

しげは上手く後ろに倒れられなくて背中を強打してしまったみたいで、痛がっている。


小瀧
しげ、とりあえず濱ちゃんとこに!
しげを支えてこっちに来る望に、

重岡
小瀧・・・俺のことはええから・・・赤チーム・・後は頼んだぞ・・・
なんてしげが言って、

中間
何変なこと言うてんねん!まずお前ちょっと笑っとるやないか!
なんて頭叩かれてしげもてへっと舌出して笑ってて、場の空気も緩んでみんなも笑った。




濱田
しげ、大丈夫・・?
しげを隣に座らせて綱引きは再開。

背中をさすりながら聞くと、しげは笑顔で頷いた。
重岡
大丈夫!
しげは筋肉も骨も人より弱いから、ちょっと転んだだけでも大けがになってしまうことがあるって言ってた。


やから心配やった。
濱田
ほんまに大丈夫?無理してへん?
そう言って顔を覗き込むと、しげは「大丈夫やで~」って笑う。

重岡
ね、それよりもう1回俺綱引きはいってええ?
しげが腕に引っ付いてそんなお願い。
濱田
・・・ほんまに大丈夫なんやったら行ってもええけど・・
ほんまは無理させたくないねんけど、せっかくしげの出られる競技やったからそう言うと、
重岡
じゃあ行く!
と僕の腕を引っ張った。




結局1番後ろでしげの後ろに俺、という形で参加した。



勝敗は赤の勝ち!



流星
濱ちゃん入って1人多いんやから勝って当たり前や!
中間
せやわ、ずるいわ
なんて流星や淳太君、神ちゃんに怒られた(笑)
そんな3人見て、
重岡
赤の勝ち―!白の負け―!淳太の負け―!
なんてはしゃいでるしげに、照史は爆笑してた。




そういえば、しげと会ってからずっとこうだ。


しげは何かあっても、僕らが心配するよりも前に笑わせてくれて、しげの方が先に笑顔になって、安心させてくれる。

ちょっとおちゃらけたような表情に、さっきのはなんだったんや!って、


調子いい奴やなぁ、って、


笑ってまうけど。




本当は違うのかもしれない。




淳太君をひとしきりいじった後、しげは自分の飲み物が置いてあるところに戻って背中をさすってた。



誰にもばれないように。





しげは、僕が思ってるよりもずっと大人で、

色んなことをちゃんと分かってるのかもしれない。





そんなしげの隣に座って、背中をさすってあげた。


しげは、「大丈夫」とは言わなかった。



ただ、「ありがとう」って微笑んでくれた。

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