4人で肩身の狭い思いをしながら昼ご飯食べてたら、
なんて聞きなれた声がして振り向くと、そこにいた人に全員が驚きを隠せなかった。
僕が言ってる間に、望は「濱ちゃんや~」って濱ちゃんに抱き着いた。
そう言って僕の所に来て笑う照史君。
その笑顔と、後ろにいる濱ちゃんの優しい姿に、緊張して張りつめていた何かが切れて、心の底から安心した。
しばらく照史君は何も言わずに僕を見た後、少しだけ笑った。
そう言われた。
大変だよ。
周りは僕らの病気をよく知らない人ばかり。
僕と望はまだ病名があって理解してくれる人もいるけど、神ちゃんはそうじゃない。
大変だけど迷惑かけたくなくて、しんどいことを言い出せなくて。
周りの人は怠けてるなんて思ってるし、雰囲気は悪くなるばっかりで。
分かってる。
この仕事をしてれば当たり前なこと。
でも、それが分かってるから余計に複雑になる。
でも、こんな気持ち、話せるわけなかった。
こんな弱音、応援してくれている照史君や濱ちゃんに、言えるはずがない。
何も言わない僕を見て、
照史君はぎゅっと僕の両手を握った。
あたたかくて大きくて、
胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
分からへん、
ただただ、胸の奥が熱くて、涙がこぼれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。