第36話

濱田side
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2018/05/03 13:41
あの後ひとしきりはしゃいでもうすぐ6時になるからって望と流星と神ちゃんは3人そろって帰ってった。


4月の終わりから入院になったしげは、来週には退院できるらしく、プログラム眺めて嬉しそうだった。



でも、僕と二人になってしばらくすると、しげはいつもよりどこか元気がないように見えた。
濱田
しげ、どうしたん?なんかあった?
そう聞くと、しげは「え!?」と驚いてた。
濱田
いや、なんかちょっと元気なさそうやなって。
しげは僕の言葉に少し考えた後、うん、と頷いた。
濱田
ええで、話してや。
ベッドのすぐ隣に椅子を動かしてしげを見ると、しげは困ったように頭を掻いた。
重岡
・・・あんな?明後日、検査やねん
”検査”

その言葉に先生の話がよぎった。


ー「痛みは半端じゃなくてね、その時ばかりは大毅君も泣いてるんや」




重岡
・・・怖いねん・・・





響いた言葉に、顔を上げた。



初めて聞いた。


しげの口から、


”怖い”って言葉。




そう言いながらも首を傾けて笑うしげの手は、布団をぎゅっと力強く握ってた。



そんなしげの手を、握ってあげた。
濱田
じゃあさ、俺が一緒についてったるよ
気付けばそう言ってた僕に、しげは「え・・?」と僕をじっと見た。
濱田
そんでさ、しげの手、こうやって握っといたる
そう言って、手を強く握った。
重岡
・・・ほんま・・?
顔を上げて、うるうるした瞳で見つめてくるしげに、大きく頷いた。




しげが苦しかったり辛かったりするなら、


そばにいつもいてあげたい。



もっと、


怖いとか、辛いとか、



そんな本音を言ってくれる人になりたい。

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