第38話

濱田side
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2018/05/06 13:25
結局しげは先生に抱かれてベッドに寝かされてしまって、看護師が必死にしげの体を押さえてた。


呆然と立っていた僕も淳太君も、慌ててしげの隣に行って手を握ってあげた。

それでもしげは暴れるのをやめなくて。


その目から、ぽろぽろ涙がこぼれてた。


重岡
いややぁ!!はなせっ!!
しげは必死に看護師をどけようとするけど全く動けなくて、

次第にしげはわんわん泣きだした。


先生
ちょっとやからな、すぐ終わるで、大毅君なら耐えれるで
先生は声をかけながら検査を始めて、

でもそれと同時にしげがピタッと泣き止んで、苦しそうに唇を噛んでた。

やけど、どんどんしげの表情が変わって、またしげは子供みたいに声をあげて泣き出した。


泣くのをやめるほどの痛みの検査に、

見たことないくらい泣きわめくしげに、



正しいことをしてるんやって分かってるけど、



ここにいる先生や看護師みんな、睨みつけたくなった。



なんでこんな辛い思いさせるんや。

もっと違う方法あるやろ!?


頭の血管が切れそうなくらい腹が立って、でも、それと同じくらい悲しくて、



僕の頬にも涙が伝ってた。






20分ほど経って検査は終わった。

その頃にはしげの額からは汗が滝のように流れてて、
息も荒くて泣くのもしんどそうだった。




先生
ごめんな・・ほんまによお頑張った。辛い思いさせてごめんな・・
そう言って頭を撫でて汗をふく先生に、
重岡
先生のあほぉっ・・・
と微かに呟いたしげの目から、涙が止まることはなかった。





病室に帰ると、しげは意識がなくなったのかと思うほど一気に眠ってしまった。


先生は僕らに言ってくれた。

検査の後はかなりの疲れで何時間も起きないこと、

今日の検査は、

半年に1回の頻度でする、本当に辛い検査だったこと。



やからしげはいつもと違う器具を指さしてほんまに嫌がってたんや。




僕らは、何かできたんやろうか。


ただそばにいて、手を握ってあげるしかできなくて、



一体力になれたんやろうか。




泣きわめいてるとこ見られて、

僕やったら嫌やけど、



もしかしたら、



いない方がよかった・・・?

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