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第3話

第三章


「那月、どうしたんだろう」

 私は那月のことが心配になった。
いつもの那月は優しくて、私の事を一番に気にかけてくれる。

 いや、さっきだってそうだ。でも、なにかおかしかった。

 那月、どうしたのかな。何年も一緒にいるのに何考えてるのか分からない。

「那月……」

 私は那月のことどのくらい分かっているのだろうか。

 知らないことが多いのかもしれない。

 何年も一緒にいるのに。

ザワザワと同級生達が楽しくおしゃべりをしている中、那月の顔が私の脳裏に浮かぶ。

 なんで……那月は家が近くて幼い頃から隣にいた。

ただの幼馴染。

 でも、那月の顔はどこなくあの茶髪の男の子に似ている。

 私もどうかしたのかな。

呆然と廊下で立っていた私は、自分の教室に入った。



「はぁ。なんであんな可愛いんだ」

俺は真奈の寝顔を見たためか、真奈を見ると抱きしめたい思いが強くなる。

俺は右手の拳を見つめて、自分の思いは届かない現実に逃げたくなった。

 そうだよ。

真奈は好きな人がいる。もう、結果は分かってたんだ。

でも、なんで昔あげた手紙を持って寝てたんだ。

そこが俺にも分からない。

もしかして真奈は俺のこと好きなんじゃないかと思うけど。

それは自意識過剰かもしれない。

俺はトボトボと自分の教室へと向かいながら、自分自身に問いかけた。

真奈の事が好きだ。でも、真奈がどう思ってんのか。怖いのだ。

また、俺の気持ちが届かないんじゃないかという不安と焦燥が心の中で交じり合っていた。

「……あー。俺、ヘタレ」

 俺は自分の髪をぐしゃぐしゃにしてから、窓際にあるものが見えた。

 あ、あれ。 飛行機雲だ。 

 窓から見えた景色は、一直線に飛行機雲が作られていた。

 飛行機雲みたいに。正直に、真奈に伝えられたらいいのに。

「飛行機雲?」

俺は昔書いた手紙の時も、飛行機雲が一直線に連なっていた。

 真奈に伝える勇気がなかった俺は悶々と考え込んでいた。

 その時、日中だというのにカーテンを閉めていた。でも、何故かカーテンを開けて空を見上げた。

 俺は真奈に伝えろと言われている気がして、俺はすぐ自分の机に戻り、手紙を書いたのだ。

 あの時と同じ景色。

でも、あの時とは違う。

文字じゃなくて、直接伝えないと届かないよと言われている気がした。

 それは俊にも言われた言葉と一緒だった。

「そうだよな」

 俺は自分に自信がなかった。だけど、伝えたい思いは昔と変わらない。

「あれ? 那月! おはよう。どうした? こんな廊下のど真ん中に突っ立て」

 俊は後ろから俺に話しかけてきた。

「おーい。聞こえるか」

「…俊。俺、やっと分かったよ。真奈に言ってくる」

 俺が言った言葉に一瞬驚いた様子だったが、おうと答えて俺の背中を叩いた。

「ちゃんと、言ってこい。お前の気持ちを真奈ちゃんにぶつけてこい」

俊は俺が真奈に告白すること、お見通しなんだな。

 俺は何にも言ってないのな。

「…おう、行ってくる」

 俺は俊に礼を言ってから、駆け足で真奈の元に戻った。

 伝えなきゃ、いけないんだ。
 
どんなにかっこ悪くても、真奈には俺の事だけを見てほしいんだ。

 走らなくちゃ、走らなくちゃ。
 
俺は全力で校舎を走った。

走る度、教師の怒鳴り声が聞こえてきた。そんなことはどうでもいい。

 誰かに取られる前に、伝えなくちゃいけないんだ。

やっと高校二年生の階へと辿り着いた。

 高校三年生の階は四階であるが、高校二年生の階は二階にあるのだ。

 三階は、通信教育の高校生が勉強できる教室と職員室がある。

 すると、真奈の教室へ辿り着いた。真奈の教室へズカズカと入り込んで俺は大きい声で言った。

「真奈―! ちょっといい」

 人一倍大きい声を出した俺にびっくりしたのか目を丸くしていた。

「ちょ、ちょっとどうしたの」

真奈は席に座っていたが、椅子をガタッと音を立てながら俺の方に向かってきた。

俺の目の前につき、真奈は、なに? と不機嫌にしていた。

「…真奈、好きだ」

 俺は素直に真菜に口にした。周りに真奈の同級生がいると知っているのに。

周りにいる同級生達は、なになに? 何事と俺たちの方を見ていた。

それに気づいて俺は真奈の左手首を掴んで、屋上に走り出した。

「…え? ちょ、ちょ、待ってよ! 那月!」

叫んでいる真奈を無視して、強引に真奈を連れて屋上へ駆け上る。

「ふぅー、着いた」

「急に走り出すのやめてよね。心臓に悪い」

はあはあと息切れをしながら、真奈は俺に言った。

「…ダセェ。相変わらず、体力ねぇな」

「…うるさい。なんなのよ、もう。屋上まできて、なんの用事?」

真奈は左手を腰につけて、両足をひろげて俺に言った。

「…大切な話なんだ。ちゃんと聞いてほしい。

「なによ」

俺は、珍しく真剣な表情になったので、真奈は目を丸くしていた。

「…昔、真奈に手紙あげたの覚えてる?」

「手紙?」

 やっぱり、覚えている訳ないよな。

 がっかりした瞬間、真奈が両手で胸もとにぎゅと拳を握りしめながら言葉を発した。

「…もしかして、茶髪の男の子が那月なの?」

 嘘も偽りのないキラキラした瞳で真奈は俺を見てくる。

「茶髪? 俺は元々黒髪だ」

「でも、私が風邪を引いていた時にもら
った手紙で。あの時、確か茶髪だった」

「…その時、多分夕日がすごかったから。俺が茶髪の男の子だと思ってたんじゃない?」

 俺は照れながら、真奈を見た。

「…嘘でしょ。ほんとに那月なんだ」

 真奈の目は、涙が零れそうになっていた。

ポツポツと雨が降り出したかのように真奈の瞳は雨と同じように溢れ出ていた。

「…真奈、あのさ、返事はいつでもいいから」

 そう言った瞬間、真奈はまだ雨が降っているのに、涙ながら言葉を発した。

「…好きだから、私も」

 か細い声で下に俯きながら、俺に言った。

真奈の口から聞きたかった言葉。

 それが、俺の目の前にして真奈が言っている。

「…ほんとだよな」

「うん、好きだよ」

 真奈は笑顔で俺に笑いかけてくれた。
 ほんとだ。

「真奈」

「なに?」

そう言いながら、首を傾げていた。

俺は心の中でずっと真奈を呼んだ。

それに気づかない真奈は、不思議そうに俺を見つめていた。

「なんでもない。行こう。朝礼遅れるぞ」

俺はいつもより笑顔で真奈に言った。

「…そうだね」

 真奈が言うと、俺たちはぎこちなく手を繋いだ。

「…なんか変な感じだね」

真奈は俺を見て、照れくさそうに真っ赤な顔で小声で言った。

「…ん? 今なんて言った? 聞こえなかった」

ほんとは、聞こえているけど。
もう一回真奈の言葉で聞きたかった。
この状況が、夢じゃないと。

「なんでもない。ただ、那月と手繋ぐのって、小学生の頃以来だなって。こんな関係になるなんて思わなかったから。こんなこと言わせないでよ」

プイッと両頬を膨らめせて、下に俯きながら、俺に言ってきた。

かわいい。
これは、夢じゃないだな。

「……そうだな。俺も真奈とこんなふうになるなんて夢のようだよ」

俺は、ニヤつきそうになる顔を左手で隠した。

その時だった。
キーンコーンカンコーン
学校の鐘が鳴ったのだ。

朝礼が始まる時間だ。

「うわあ、ヤバい。真奈、行くぞ!」

「あ、うん」

俺たちは、真奈の教室まで手を繋いだ。

バイバイと俺は真奈に手を振って、教室に戻ろうとした。

その時、真奈が大きい声で発した。

「那月! ありがとうね」


満面な笑みで真奈は嬉しそうに俺に向けて、手を振ってから自分の教室へ戻っていた。

人は言葉にしなくちゃ分からない。

言葉にしてわかることがあるんだと思えた。

伝えなくて、後悔しないように俺の正直な気持ちを伝えていきたい。