無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第2話

第二章

 ほんと、誰なんだろう。

どう考えても、分からない。

思い出しても、思い出しても頭の中に出てくるのは、夕日が陰に隠れて、茶髪の男の子の顔がぼんやりとしていることだけ。

私は学校が終わったら、家に帰宅した。

いつもは那月と一緒に帰るが、杏奈に那月の伝言を頼み、学校を去った。

そして、家に帰宅した後、階段を駆け上がり、私の机の引き出しを開いた。

 でも、何年ぶりに読んだ手紙は誰なのか見当もつかなかった。

「…ほんと、誰なの。気になって寝れないよ」


私は風呂に入ってから、自分の部屋に籠もってずっと手紙を握りしめていた。

握りしめながら、私は今まで出会った人達の楽しいことや悲しい出来事を思い返しながら、目を閉じて考えていた。

 …何分経っただろうか。小学校、中学校と学校の中で話していた男子を思い返した。

 だが、思い返すのは、那月だった。

 他の男子とも話すことはあったが、それはただのクラスメイトということで話していた。

 恋に発展することはなかった。

しかも、いつも那月は私のクラスに来ては、声を掛けて、私を呼んでいた。

まさか、那月? 

でも、分からない。

手紙に書かれていたのは、茶髪の男の子。那月は昔から黒髪、違う人かもしれない。

私はベットで横になりながら、手紙をパラッと開いた。

 君がすきです。

 優しくて、可愛い君はいつも一生懸命に頑張っています。

でも君は頑張りすぎるから、心配になる時もあります。 

 だから君がひとりで頑張ってしまあわないように俺が側で守ります。

 これが、那月! いや、ないない。

 私は手紙で顔を隠して、自分のことを好きと言ってくれる人がいるなんて思いもしなかった。

左手を胸にあててみると、ドキドキという鼓動が鳴り響いていた。これが、恋なのかな。

名前も書かれていない手紙が私の元にある。

 言葉も文字も私の知っている人では見たことない。

 これは那月なの。誰なの。

 私は名のない手紙を手に握りしめながら、眠りについた。
      *

「は? 真奈帰った?」

 俺は何も入っていないカバンを肩にかけて、怒った口調で言った。

「帰りましたよ」

「なんでだよ」

「…真奈、好きな人出来たかもしれませんよ」

真奈の友人杏奈は、俺になぜかいつも無表情に接してくる。

「はあ? どういうことだよ」

「…那月先輩、真奈のこと本当に分からないですね。真奈はその人の事をようやく自分で考えようとしているんです」

「……誰だよ。それ」

 杏奈は俺に言った言葉にクスッと口元を緩めて笑った。

「那月先輩が一番、分かっているでしょ」

 杏奈は笑いながらそう言って、自分の教室へ戻っていた。

「……」

 俺が一番分かってる? 

確かに、真奈の事は人一倍誰よりも分かる。

だけど、わからねぇよ。

何年も一緒にいても人の心なんて分かるはずがない。

「…真奈、何考えてんだよ」

 俺は右手の拳を顔に近づけて、目を閉じて真奈に聞こえるように問いかけた。

 真奈、今俺のことどう思ってんの。

 ねぇ、真奈。

 俺は言葉で伝えることが苦手な分、昔手紙で伝えたのに。

 どうやったら、君に伝わるのかな。



 カーテンから木漏れ日が差していた。
 その光を掴みとりたくなるくらいに、私は寝ぼけ顔で右手をあげた。

 真奈、真奈。

 私は自分の名前を呼ばれた気がした。
 夢だったみたい。でも、右手はカーテンの方向へと挙げられていた。

 また、夢か。

「母さん、おはよう」

「おはよう。あ、さっき那月君、来てたわよ。真奈の部屋まで行ったみたいだけど。起きなかったのね」

 私は固まってしまった。

 那月が私の部屋に。

「母さん、なんで那月来たの」

 母さんは朝ごはんの用意をしながら、私の返答を返してくれた。

「え? なんか真奈に渡したいものあるからって。あ、これ真奈にって」

渡されたものは、手紙だった。

 その手紙は、昔もらった便箋の色と同じだった。いや、まさか。まさか。

「……まさかね。気のせいだ」

 私はそう心の中で言いかけた。

だって、那月は幼馴染。 

そう、幼馴染。

 心の中の思いをかき消すように私は大股で学校へ向かった。

「あら、今日早いのね。いってらっしゃい」

「いってきます!」

 私はいつも以上に大きい声で母さんに言った。

 心の中にある思いは、それは本当に恋なのだろうか。

ましてや、あの那月なのか。

「真奈!」

「おおっ」

「なに、その顔」

 トボトボと学校に行く道を通っていたら、私の後ろから声をかけてきた。

考えていた傍から、那月が来てしまったのだ。

「…手紙見た?」

 手紙、母さんからもらった手紙の事ね。

でも、まだ読んでない。
昔と同じ便箋で私は動揺していたからか、中身まで見ていない。

「今、開けてみて」

 那月は、くしゃと目元を皺がよせるくらいに笑顔で私に言った。

「…分かった」

 私はその笑顔に勝てなくて、カバンから手紙を取り出して那月の前で開いた。

 すると、ぺらっと開いたら、一枚の写真であった。

「何、これ」

「見て分かるだろ。俺が飼ってる犬のグレンだよ。真奈も見たことあるだろ。グレンは真奈に懐いてるからな。可愛いグレンのショットが取れたから。お前に渡そうと思ってな」

 私さっき、茶髪の男の子を那月だと思ってたけど。…私の勘違いだったのね。

私の考えすぎだったんだ。
ただ、昔茶髪の男の子にもらった便箋と同じだったから動揺しただっけか。

「……あ、そうなの。あ、ありがとう」

私は素っ気なく笑って、那月に答えた。

「…なんか不満そうな顔だな。グレンだけじゃ不満か?」

「別に…そんなんじゃない」

 私は下に俯いていたが、那月の言葉で上を向き、彼の目を一点に見つめた。

「…あ、そう。ならいいけど」

「那月今日、どうしたの」

「なんで?」

「…私から見たら、今日の那月は変だよ」

 そう言って私は満面の笑みで那月に声を発した。

「…あー、そうか。俺、今日おかしいかもな。俺、じゃあ俺行くわ」

 那月は右手で顔を隠して、私に言って去った。


…俺、今日どうしたんだよ。いつもは、あんなことしないのに。

俺は叫び出しそうになりそうな声を必死になって、両手で覆った。

時が戻れる時間があったら戻りたい。

本当は真奈の家に行くつもりなんてなかった。
でも、真奈に好きな人がいると聞いたら、居ても経ってもいられなかった。

俺は起きた途端、早々と準備をして、真菜の家に無意識に向かっていたのだ。

 自分の意思と関係なく、俺はインターホンを勢いよく押していたのだ。

「…あ、押しちゃった」

 インターホンから聞こえる真奈の母親の声が中から聞こえてきた。


俺は真奈の母親の声をした瞬間、我に返った。

 何をしているんだ、俺。

自分の心の中で呟きながら俺は下に俯いた。

「あら。那月君、どうしたの」

「えーと。真奈に渡すものがあって」

 真奈の母親は、俺を数秒じっと見てきて、声を発した。

「あら、そうなのね。でも、真奈まだ寝てるのよね」

 真奈の母親は、俺の言葉を待っているようかじっと見つめてきた。

「…俺、見てきましょうか」

「あら? そう! じゃあ、お願いしようかしら」

 ニヤニヤと俺の顔を見て、真奈の母親は俺に言った。

 普通、女子の部屋に本人の承諾なしで入っていいのだろうか。

まぁ、真奈の母親が言うなら、大丈夫だと思うけど。

 そう俺は自分に言い聞かせながら、真奈の部屋に入ったのだ。

「……真奈」

 ガラッと真奈の部屋に入った俺はベットで真奈はスヤスヤと寝ていた。

音のなく静かに流れる真奈の部屋は、可愛いぬいぐるみが沢山あった。

ぐるりと真奈の部屋を見渡したら、真奈は俺がいると知らずにスヤスヤと気持ちやすそうに寝ている。

俺はしゃがみこんで、真奈が寝ている横でじっと目を瞑ってる真奈を見つめた。

気づかねーよな。

…真奈、なに考えてんだよ。

誰だよ、好きな人って。一人で考え事をしながら、俺は真奈の右手に手紙があった。

これ。俺が昔書いた手紙。

なんで…これ持ってんの。

「うーん」

 真奈は寝返りを打って、俺の方向へと向いてきた。

「真奈、真奈、真奈」

 真奈が起きていないのに、俺は名前を真奈の耳元で呼び続けた。

すると、真奈は急に右手をあげて、誰?と目を瞑りながら言った。

俺は予想だにもしない真奈の返答に驚いて、立ち上がり部屋を出た。

…真奈、お前は誰を思って、話しかけているんだ。

…俺は真奈が好きな人が出来たと思った途端、気持ちが落ち着かない。

まさか、真奈に好きな人がいたなんて思いもしなかったから。

俺は真奈の部屋のドアに寄りかかって、座り込みながら数分間足音を立てずに、白い壁紙を眺めていた。