ーピクニック当日
ーもしここでお母さんかお父さんどちらかが止めていたらその後起きる悲劇は起きなかった
そしてー
最悪の事態は免れずに済んだのに・・・
私たち親子は一生この日を悔やむことになるー
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神様は意地悪だ
ー高速道路
ー悲劇が起こるまでのカウントダウン・・・
3・・・
2・・・
1・・・
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キキィィィィィィィィィ!
・・・ドン!!!!!
私は何かの衝撃で目を覚ました
何とか首だけ動かして菜穂の方を見ると・・・
ー菜穂は頭から血を流し倒れていた
辺りの様子を見ると目を覆いたくなるような光景が広がっていた
ーそれは何個もの車が横転したり、ボンネット部分がヘコんでいたり
・・・正に地獄絵図
その後強烈な目眩に襲われ、起きていたいのに目がどんどん下がっていき・・・
・・・プツン
そこから私の意識は途絶えた
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ピッピッピッピッピッ
規則正しい機械音で私は目を覚ました
ーそして数分後
私は目を覚ましたことを後悔することになる
ーそれから一週間が経った
未だに菜穂と菜穂のお母さんは目を覚まさない
担当医の先生に聞いたところ
今日
"脳死判定"のテストをするそうだ
幼い私はそのテストが一体何を意味するのか理解出来なかった
けど、お母さんが泣き崩れているのを傍で見て
きっと悪い知らせだったんだと理解出来た
ー病室
応答はない
もう一生目を覚ますことはない
もういくつ謝った所で菜穂は目を覚まさない
その二週間後
菜穂のお母さんが目を覚ましたけれど
腰から下が動かない"脊髄損傷"という重い怪我を負ってしまっていたことが分かった
私たちは一日にして"幸せ"を失った
これで何日目だろう
毎日毎日退院した今でも私は菜穂の病室を訪れる
いつか目を覚ましてくれるのではないか
そんな淡い希望を抱いて
ーある日
ーその二週間後
私は1ヶ月ぶりにランドセルを背負った
入学した頃はこれから始まる新しい生活に心を弾ませていたというのに・・・
今は学校がこれまで以上に遠く感じる・・・
ー学校
ー先生の後に恐る恐る教室に足を踏み入れる
なんだか初めて教室に入ってきた時より緊張する・・・
それに・・・なんだか居心地が悪くなった気がする・・・
ー休み時間
次の日から
ー学校に行く足取りが重くなった
お母さんから、保健室登校も進められた。けど足が進まない
なんだか本で読んだ通りの"絶望"ってやつを味わってる気がする・・・
どうやったら"絶望"を克服出来るの・・・?
私は一生この思いのまま生きていくのかな・・・?
元の明るい自分はどこ行っちゃったのかな・・・
神様?
一生のお願い聞いてくれますか?
私に笑顔を・・・
ー下さい
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。