ピッ、ピッ、ピッ
規則正しい機械音が鳴り響く病室のベッドには雪が眠っている。
一時は心臓が止まったけれど、なんとか一命を取り留めた。
あの日から一週間が経とうとしているしていた。
ろくろは一日中、雪の手を握っていた。
ぴくりと雪の指先が動いたかと思うと、小さく声を出した。
だけど、目を覚ます気配はない。
ずっと閉じられていた目がうっすらと開かれて、金色の瞳が顔を出した。
ろくろはすぐにナースコールを押した。
雪はずっと、ろくろと呟いている。
雪と目が合うと、ふにゃりと笑って眠った。
雪の検査も終わり、2日後の退院が決まった。
雪の回復に、ろくろや十二天将のみんなも安心した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。